日: 2007年7月29日

投票日のにわか障害者

 前日の起きた時間が午後4時で、あまりにも社会生活上不便である、ということで、時間帯をシフトするために、前夜からしばらく起きていることにした。まあ、実際、全然、眠くないし。
 というわけで、午前8時半過ぎ、投票所へ向かう。
 そこそこ歩くので、妻が使っていた杖を借りていく。半ズボンにアロハシャツで杖をついているのは妙な光景だろうか。
 前屈みだと楽なのだが、杖なしで前屈みの姿勢でいると、周囲から見て異常な感じがする。杖をついていれば、見ている人が「ああ、この人は身体のどこかが悪いのだ」と納得できる。相互にアカウンタブルである、というのは、快適な社会生活にとって重要な要素だ。あかの他人同士の関係で大事なことは、本当にわかりあうことではなく、お互いにわかったような気がして安心できること。
 スタスタ歩く方が楽なんだけど、投票所へアプローチするエレベータでご近所の見知らぬマダムに話しかけられ、四方山話をしながらゆっくり歩くハメになり、やはり痛くなって、しゃがむ。
 杖をついて、スタスタ早歩きするのも、アカウンタビリティに問題があるんだよなあ。
 世間の人のステレオタイプ(足の悪い人は歩けてもゆっくり)というのからはずれて、早く歩く方が楽で、むしろ走ることなら問題なく、ゆっくり歩いたり立っているだけだと最悪、という病気は、なかなか暮らしにくいものだ。
 車椅子を借りたいと思うのだが、途中に段差があったりしたとき、自分で車椅子から降りて、車椅子を持ち上げて降ろし、また、車椅子に座って移動を続ける車椅子利用者に、世間が理解を示すかどうか、というのがどうしてもひっかかる。世間は障害者に弱々しさを期待するので。
 投票所の中には椅子がないので、ガマンしながら投票を済ませ、外へ出てからまたひとやすみ。
 とまあ、足が悪いだけで、いままでわからなかったことがいろいろ見えてきたり、想像の及ばなかったことを考えたり、なかなかお得な感じではある。
 ただ、運動不足で体調が悪くなっているのが問題だ。