日: 2007年7月11日

今日のところは負けを認める

 朝九時に電話で起こされた。
「大阪のゆかりです」
 ん……? 大阪になじみの飲み屋はない。もちろん愛人もいない。
 あ、昔の芝居仲間で最近バツイチになったアイツか。
『D列車でいこう』を読み終わって「感激したから」とわざわざ電話してきてくれたのだった。ありがたいことだ。
 予定の起床時刻よりも少し早かったけど、そういうわけで、いい感じで始まった朝だった。
 テレビでMLBのオールスターが始まった。
 いきなりイチローの打席。ヒットだった。感動した。
 理想の高い人が好きだ。どこまでいっても「ここまでくれば十分」と思わない人、自分を低いレベルで納得させない人。そういう人でいたいと思うけど、僕はイチローほど努力をしていない。つくづく自分を甘やかしていると思う。いくらでも時間があるのに、もっと書ける時間はあるはずなのに。
 でも、イチローという人の凄さを見せてもらっただけで今日はいい日だ。
 というわけで、いい感じの朝はさらにいい感じになった。
 ところが歯医者の予約の時間になって家を出ようとするとカード入れが見つからない。クレジットカードとキャッシュカードと、それからマンションのセキュリティカードが入っている。ドアの鍵をもっていてもセキュリティカードがないと、家を出て行けてももどってくることができない。ドアの前まで入って来ることができないのだ。
 昨晩、自力で部屋へもどってきたからには、この家の中にそのカードはあるはずだ。なのにどうしても見つからない。
 あきらめて予備のカードをもって出かけた。
 引っ越して初めて行く近くの歯科。歯石取りをして欲しいだけなのだけど、ぐるりお決まりのレントゲンを撮られる。
 次の予約を取って家にもどると、カード探しの続き。
 結局、プールに行くのをやめて午後全部を費やしても見つからない。
 スーパーに行かないと食料がないので予備のカードで出かける。もどってきてまたカード探し。
 結局、見つかったのは翌午前2時だ。
 ああ、また、人生を無駄にしてしまった。
 そのあいだにイチローはMVPになっていた。
 くそ、到底、叶わないや。
 いまのところは。(ここ、負け惜しみみたいだけどけっこう本気)