2日に亡くなった叔父の通夜。
特攻隊員の生き残り。戦争がもう少し長く続いていれば62年前に死んでいた。
洒落者で善良で無頼で繊細で剛胆でかわいい酒豪だった。
親類の集まる宴で、次男の父と三男の叔父はいつも飛び抜けて酔っぱらって大声を上げていた。
棺の窓を開けると、頭の横にきれいに洗った予科練の帽子があった。まるで新品のレプリカみたいにきれいだった。
叔父から、彼にとっての戦争の話を聞いておきたいとずっと思っていたけど、重たすぎて、僕の心の準備ができず、ついに聞くことのないままになった。
残念ではあるけれど、命を張ったことのある人の話を聞くには、こっちにもそれだけの準備と覚悟がいる。
3時間睡眠だったので、行きの片道2時間は睡眠。帰りは少し原稿書き。
告別式の明日も、行きの電車で眠れるので、今夜はその分、ベッドで寝る時間は減らせる。
母が通夜からいっしょに帰りたがったが、睡眠か創作に往復の時間を使いたいし、そもそも母と話すと精神が苛立ち創作にいたく障害が生じるので断った。
ヒドイ息子といわれてもいいから、いい小説を書く方を優先することに人生決めているのだからしかたがない。いい小説を書くことといい人であることのどちらかを選ばなくてはならないとしたら、躊躇なく前者を選ぶ。