オーシャンで7時半まで仕事。
家で仕事。
午後9時半、「JET」で伊舎堂さくらのドラム。
彼女は、その前に、他のステージをこなしてから来ているせいか、先週よりもさらによくなっている。
彼女がドラムを叩くと、両側のギターとベースの演奏もよくなって、バンドが引き締まる。
今日は彼女を収めるためのビデオカメラも入っている。
彼女は「コザの申し子」なので、コザの女の子が主人公の『インバウンド』(小学館)をプレゼント。
ステージが終わったところで、彼女のCDを購入して、サインしてもらう。
14歳のさくらはそのステージで帰宅。代わりにもともとのJETのドラマーであるコーチャンが入るが、ずっとこの三人でやっているはずなのに、アンサンブルが全然悪い。
ドラムが変わるとこんなに変わるものか、と。
いずれにしても、伊舎堂さくら、すごい。
もう二年以上つづいているオフリミット(夜間外出禁止)で、アメリカ人はほとんど歩いていない。
昼は丸仲食堂の「カツB定食」(650円)
その後、オーシャンで夕方まで仕事。
洗濯をしてシャワーを浴びて、夜の仕事場をどうしようか考えていたら、家主がブイヤベース風のものを作ったよ、というのでご相伴にあずかる。
外へ出ないで食事が終わると、シャワーで身体が温まっていることでもあり、そのまま部屋で仕事。
BGMの jango.com がとてもいい感じ。
翌午前1時過ぎになって、買っておいたオリオンの第三ビールを飲んで寝る。
外飲みナシは上出来。
ゲート通りを歩いていたら、アフリカ系の男性に「英語できるか」と聞かれたので「できるよ」と言ったら、「あれはなんなんだ」という質問が。
近ごろ、スピーカーで大きな声で町中を回っている車のことだ。
「市長選挙のキャンペーンだよ」
と言ったら、納得したようなしないような複雑な表情をしていた。
選挙の時に、車で名前を連呼して町をぐるぐる回るのも、たしかに日本文化かな。
家から5分ほどのモスバーガーはドライブスルーもある24時間営業。
横浜でも、夜、酒を飲まずに静かにいられる場所というのはなかなかないけど、沖縄ではなおさらで、そんななか、夜中でも静かに仕事ができる場所として、このモスバーガーはとても便利だ。
というわけで、翌午前1時半まで仕事をして、帰り道にPEGに寄る。
ねーねーのお客さんばかり3人で、店主のほうがご機嫌に酔っ払っていた。(笑)
夜、ちょっとふつうに美味しいものが食べたくなって、中の町の「亀ちゃんの所」へ。
さきにPEGの店主が来ていた。火曜日は店が休みなのだ。
サバ、アーサーの天ぷら、でビールを1本だけ。
店のテレビのどっきりを見ながらああでもないこうでもない。
沖縄に来てから、まったくテレビを見ていない。横浜でもあまり見ないけど。
帰って仕事の続きをしようと思ったけど、そんなにはできなかった。
会う人にもだいたい会ったし、行く店にも行ったので、ふつうのコザ生活へ。
家にも椅子と机はあるけど、寒いので気力が湧かない。
思い立ってジョギング。
フルマラソンを走って三週間。初めて走る。
約5km、普段と違うところを走るのは楽しい。
午後三時以降は、阿川大樹小説事務所コザ駐屯地(ゲート通りのオーシャン)が確実に空くので、そこの指定席(笑)で日が暮れるまで書くのがコザでの執筆のパターン。問題はそれまでどうするかと、それからどうするか、そこに毎日の創意工夫がある。
居候先は、ガスが一口しかつかえず、電子レンジも壊れているので、しっかり料理を作る感じじゃない。
買って来た惣菜とご飯、みたいな感じが中心。
生野菜はトマトを切るか野菜ジュースを飲む。
日に当たるところに干せば沖縄の日差しですぐに乾くが、室内干しなので、洗濯物も一度に大量には干せない。
などなど、この場所なりの生活スタイルができてくる。
5部屋にリビングとダイニングキッチンで、すごく広いので、家主が二部屋、僕も二部屋もらっている。
靴を脱いで上がるけど、犬が一緒だし、ゴミは吸い取るけど拭き掃除はしないので、床はほとんど地面のようなもので、ようするに西洋式の暮らしだと考えるのがぴったり。
いよいよ、本日はてるりん祭本番。
島唄の一流どころが**組出場する「大統領」こと照屋林助のトリビュートイベント。
豪華メンバーなのに商店街で行われ入場無料。
林助の次男・林次郎と協力者たちの手作りで、補助金も拒否、一流の人たちばかりなのに交通費だけで出演。
てるりん祭は沖縄民謡界の紅白歌合戦。
だからここに出演できることが一流の証になっている。
出演させてくれと申し出てくる演奏家たちもたくさんいるが、すでに午後1時から9時までの野外イベントでもあり、断っている状態。
実際、当日も飛び入り出演を狙ってやって来る歌い手もあって、出演できずに外でゆんたくして帰って行く。
出演者は自分の出番にゲストとして、無名の人や弟子を加えて、いつもより大編成で臨む者も多い。
てるりん祭のステージに立つことが、沖縄の民謡歌手の勲章なのだ。
司会は立川志ぃさー。先日、ラジオ沖縄の番組収録に黄金町にやってきた。
つまり立川志ぃさーは、本土で言えばスマップの中居君に相当する。(うむ、これはちょっと言い過ぎか)
中央パークアベニューを通行止めにして、ステージを組み、椅子を並べて開催される。
入場無料出入り自由なので、来場人数を正確にカウントするのは難しいが、のべ700人は下らない。
NHKの紅白歌合戦だからこそ、紅組白組あれだけのスターが揃うように、これだけのメンバーをプロモーターが自分で集めるのは不可能であり、主宰者の所にはパッケージとして5000万円で本土で開催してくれというオファーもあるらしいけれどそれも拒否。
てるりん祭は、沖縄の、コザの、魂のイベントであり、商品ではないのだ。
僕にとっては震災の一ヶ月後、殺伐とした横浜から逃げるようにやってきて体験した以来、二度目の体験になる。
八時間のイベントのあいだに演奏される島唄は、ヤマトから来た僕にはどれも似て聞こえる。
だから、ひとつひとつは素晴らしくても、ずっと真剣に聴いているとやがて退屈に感じられてしまう。
ところが、やがて、単調なリズムと旋律は、浜辺に打ち寄せる波のように、バックグラウンドの心地よい調べになっていく。
並んだ椅子に座って聴いたり、立って周囲を回って友人知人とゆんたくしたり、やがて日が暮れて迎えるはずのクライマックスを待つ。もちろん、呼び止められて座ると、自然に酒が出てきたり、初めて会った人に紹介されたり。
そして、今日、知り合った素敵な人は、ひとりのオバア。
コミュニティFMでパーソナリティをやっているそうで、おそらくは日本で最高齢のラジオパーソナリティ。
そして、つい最近まで、女子高生だったのだという。
沖縄のオバア、恐るべし。
まもなく日が暮れるという頃、雨が降った。
てるりん祭は毎回雨が降る、そして、前日までの予報では夜に降るといっていたのが、当日の朝の予報では深夜になるまで降らないと報じられ、今年こそ、雨の降らない「てるりん祭」か、と思われたが、そこはさすがのてるりん祭、やっぱり降った。
最後の二組のひときわ素晴らしい演奏が終わり、フィナーレの園田青年会のエイサーになったころには本降りだったけど、雨の中で演技する若者たちの前で、誰も雨を避けて席を立つものはいなかった。
コザ5日目。
今日は休肝日にしよう(自分から飲みには行かないようにしようの意)と思っていたら、意に反して(思った通りの意)Fさんからお誘いがあり、またしても、大衆食堂ミッキーに。
そこでも意に反して(思った通りの意)知り合いが数人、僕はあまり知らないけど僕のことを知っている人も若干名いて、ゆんたく。
もう一軒行きましょう、の誘いに尻尾を振って泡盛の品揃えのすごいお店でアートと地域の関連や沖縄の将来について語り、さらに意に反して(思った通りの意)古くからのスナックに行き、沖縄言葉のスペードのエース「だからよ~」の用法についてとことん話し、それでも1時半には帰宅しました。
一軒目から二軒目の道中、JETのライブを終えて徒歩帰宅中の伊舎堂さくらに出会い、立ち話。僕にとってはたとえ中学生でも彼女はすでにスターなので、握手するとドキドキしてしまう。
コザは狭いので知人によく会う。そして知人がどんどん増える。日を変えて友人たちが、二軒目、三軒目、と自分のお気に入りの店を紹介してくれるので、初めてなのに馴染みみたいな店がどんどん増えていく。
お店をやる人、雇われて働く人、など、人間模様はすべて芸の肥やしだし、小説家は飲んでいても小説家の目でものを見ているので、こういうハードワークは、いつかかたちになるでしょう。(笑)
コザの週末は長いオフリミットでアメリカ人はすごく少ないけど、それなりに賑わっています。
仕事はまずまず進んでいるけど、本格的に物量(?)がうごくのがこれからなので、遅れが出るとしたらこれからだけど、きちんとこなしたいと思います。
来週の夜のアポイントも3晩あり、それに週末はさくらのライブもあるので、すでに埋まりつつあり、それをこなすには昼間がんがん仕事をしなくてはいけない、という、ある意味よいプレッシャーになっています。
でも、ここにもし文庫のゲラが届くと、もう新しいアポイントは入れられないかな。
週末だ。ロックのライブハウス「JET」へ。
伊舎堂さくら、14歳。ロックボーカリスト&ドラマー。
ぴったりオンビートじゃなくて、ほんの少し微妙にオフビートで叩く、そんなロックの重たいドラムが叩けるのがすごい。ボーカルもいい。
実際に聞くまではドラムには人材がいるけど、ハードロックのボーカルは人材が薄いからそっちに期待したけど、なんとなんと、ドラマーとしても逸材でした。
ドラム叩いているときの歌は、どうしてもボーカル専業のときよりニュアンスが弱くなる。うーん、彼女はどっちに行くんだろうか。(と、オジサンは勝手に悩んでいる。
全国チェーンの(笑)シャッターアーケード街の中の家は陽が射さなくて寒い。
外へ出ていくと、半袖短パンで大丈夫。
日向を歩いて、ゲート通りの「カフェ・オーシャン」へ。
僕の沖縄事務所みたいなところ。
オーシャンへの道を歩いていたら交差点で車が止まってするすると窓が開く。
運転しているのは友人のデイゴホテルの社長。
そうなのだ。(黄金町もそうだけど)小さな町では歩いていると頻繁に知り合いに会う。
オーシャンはタコスが日本一美味しい。中央パークアベニューの有名店「チャーリー多幸寿」よりおいしい。
だけど、それはそれとして、本日はガッツリ系のやきめしをたのむ。
夕方までカウンターで仕事。
夕方、思い立ってデイゴホテルの大浴場へ。(520円)
午後9時、パルミラ通りのパーラーりんりん。
思ったとおり、ベース弾きのコーゾーが来て、さらにはりんけんバンドのかーつーが来て、12時前まで歓談。
最後は、PEG。居候代替わりに飲み代を使う)
午後7時半まで仕事をして、コザの夜、2日目。
スタートは大衆食堂ミッキーでてるりん祭の打合せの場に何故か同席。
(その場に午前中、路線バスから僕に声をかけてきた運転士氏もいる)
同じ店の別のテーブルで大阪府豊中市との交流関係者のモアイをやっていて、そちらにも知り合い多数。で、コザの小説を書いていて豊中に住んでいたこともある僕もちょこっと挨拶をしたり。
いろいろまちづくりのキーマンでもある古堅さんとも久しぶり。
なんと、古堅さんは、横浜黄金町に2008年に視察に来たことがあると判明。
2軒目は近くのミュージックバーFへ。
ステージのあるその店は、ひがよしひろが僕に歌ってくれるために連れて行ってくれたようなもの。(彼の演奏の拠点でもあり、左利きの彼のギターも置いてある)
4年前に僕が仕掛けて黄金町の試聴室その2で彼がライブをやったときに僕が詞を書いて彼が作曲した曲を歌ってくれた。彼は持ち歌にしてくれていたようだけど、僕にとってその曲を聞くのは黄金町以来、二度目。歌詞には高架の上を通過する電車と大岡川が出て来る。
3軒目は中の町の民謡歌手(てるりん祭に参加予定)の店へ行こうとしたのだけど、閉まっていて、となりのスナックへ。女性のいる店にはふつうはあまり行かないのだけど、ひがよしひろの知り合いが働いているということで。
美しくてしっかりした女性たちの働く姿は素敵。女性にもてなされることより、そういう女性の姿を見るのが好き。
何年かぶりにカラオケ「Song for USA」を歌う。
(歌は好きだけどカラオケには行かない人なので)
4軒目は居候の家主の店PEG。
もう酒は飲めないのでさんぴん茶。
2日目も4軒ハシゴ。
行っていない店で行かなくてはいけない店は残り2軒。