日: 2006年4月18日

調子が出てきたぞ

 きちんとプロットを書いてから、長編の執筆に入る。
 少なからぬ作家がとっているアプローチを実は僕はしたことがない。何百枚も書いた挙げ句にボツになる、という作家側のリスクを回避するにも、どんなものができてくるかわからない、という出版社のリスクをなくすためにも、とても有効なアプローチであることはわかっている。
 けれど、書きはじめてみないとわからない、書きはじめれば必ずアイデアは出るのだが、書かずにあらすじだけ考えるとなかなかアイデアが生まれない、と、これまた少なからぬ作家がとっている方法がいままでの僕のやり方だった。
 今回、初めて真剣に「プロットから入る」アプローチをやっている。
 いままでだって試みたことはあるのだが、ことごとく失敗して時間だけが過ぎ、結局、「四の五の考えずに書きはじめてしまった方が早い」という結果になっていた。
 ただ、ダイヤモンド経済小説大賞優秀賞でデビューした関係で、いままでは何をテーマに書いても、それぞれの出版社にもっていけばよかったところが、ことダイヤモンド社に関しては「経済小説」を書かなくてはならないことになっている。
 そうはいっても、経済小説の主流は金融や商社や流通を舞台にしたいわゆる文科系ホワイトカラーの小説だ。製造業出身で元エンジニアの阿川大樹は門外漢だし、そういうみんなが書いている分野にもともと強いこだわりがない。そういう分野はすぐれた先達に任せて、せっかくなんだから新しい経済小説を書きたい。
 じゃあ「新しい経済小説」とは何なのか。
 そもそも新しいわけだから、いままでにないチャレンジになる。となると新しいものを現物ができる前に編集者と作者でイメージを共有するとしたら、建築でいう模型やパース図、小説ならあらすじ(プロット)がないといけないわけだ。
 でないと、僕がこれは新しい経済小説だと思っても、出版社がこれは経済小説ではないと判断すれば、せっかく書いた長編も陽の目を見ない。これはお互いにとってリスクが高すぎる。
 というわけで、今回、なんとしてもプロットから小説を組み立てるという新たな挑戦をしている。
 なんといっても、初めてのことだからスムーズにはいかない。
 でもでもでも、本日、あらすじとしては30%は40%ぐらいできたところで、試みに冒頭を書きはじめてみたら、どんどんアイデアが出てくる。ならば、プロット自体を膨らますために、もう少し書いてみようかということにした。
 こういう風に、アイデアがどんどん湧いてきて、筆が進むときは、ものすごく楽しい。書いてしまうのがもったいないほどに楽しい。(笑)
『窓を開ければ港も見える』も新しいコンテンツを追加しました。
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