東横線を中目黒で下車、目黒川沿いにゆっくりと歩いて目黒区美術館へ。
桜並木で横浜でいえば大岡川。
秋岡芳夫展 モノへの思想と関係のデザイン。
秋岡芳夫は工業デザイナーとして有名な人で、実は秋岡芳夫の子息(秋岡陽)と高校で同期だったのだが、当時は父上がそのいう人だったとはまったく知らなかった。
展示を見てびっくりしたのは、秋岡芳夫のデザインしたもので、僕が実際に使ったり触れたりした記憶があるものがたくさんあることだ。
学研の「科学」の付録。セコニックの露出計。ゼンザ・ブロニカ。三菱鉛筆ユニ。エトセトラ、エトセトラ。
彼にとってモノは買うものではなくつくるもの。いつも何をどうやって作ろうかと考えていた人だと言うことがとてもよくわかる。
と同時に、デザインそのものだけでなく、デザインという形のない物に正当に値付けをし、クライアントもデザイン事務所も、幸福な関係の中で仕事ができるようなシステムを作り上げようとしたことも先進的だといえる。
晩年に熱中していたという無数の竹トンボの精緻で美しいことよ。
工業製品にせよ、手作りの製品にせよ、芸術作品にせよ、「モノをつくる」人にとって、この展示は大きな啓示を得られるものだろう。
久々に目黒区を歩くといい気持ち。
黄金町の猥雑さも刺激的で素敵だけれど、都会にあって都会から隔離されたような目黒の住宅地はそれ自体リゾートのようだ。