朝一番に、Museo Statale San Marco サンマルコ美術館へ。
階段を上がった正面に、いきなり、ベアート・アンジェリコの有名な「受胎告知」
修道院の小部屋ひとつひとつの壁画が描かれている。
次は、Duomo の近くの、Opera di Santa Maria del Fiore へ。
有名なマグダラのマリア像の顔は力石徹に似ていた。
昼食後、同行している妻とその友人たちは、Siena へ行くという。
僕は、Firenze の町を歩く方がいいので単独行動。
途中、ホテルで2時間ほど休んで、4時間ほど、町を徒歩で歩き回る。
ベネチアにばかり長く居ると、イタリア共通の特性なのか、そうではなくてベネチアだけの特性なのか、区別できなくなるので、そのあたりをフィレンツェを見ることで校正しておく必要がある。
美術館や博物館ばかり見ていては、その作業ができない。
だからただただ町を歩く。
特殊な町であるベネチアに比べて、フィレンツェは普通の都会。
マクドナルドもあるし、中華料理屋も、持ち帰りの寿司屋もある。
物販の焦点もそれぞれに都会的な店作りをしている。
高級ブランドの店もあれば、有名ブランドではないが趣味のよい店もある。
フィレンツェにいると、ベネチアは田舎だとよくわかる。
まあ、ベネチアは、その適度に田舎であるところがよかったりもするのだけど。
ベネチアでは美味しい肉が食べにくいがトスカーナ地方は肉とワインが特産でもある。
というわけで、今晩は、肉屋がやっているレストラン Ristrante La Spada。
庶民的で美味しい店でした。
キアンティ・クラシコを飲みながら食べてひとり23ユーロ。
どのくらい庶民的かというと、キアンティ・クラシコを注文したら、「窓際に置いてあって温かくなっているので、これから冷蔵庫で冷やしますね」と言ってのけるくらい。(笑)
イタリアへ来ているけど、別に遊んでいるわけではありません。
たまたまチャンスがあったので、住む場所を横浜からベネチアへ移しているだけ。
とはいえ、せっかくイタリアに居るのだから少しは休んで旅行などしてみよう、というわけで、我が家にホームステイしている妻の友人たちと一緒に、フィレンツェへ行くことにしました。
午前8時前、ベネチアの家を出て列車でフィレンツェへ向かう。
列車の中で食べる朝ご飯のブリオッシュを買うつもりだったけど、なんと、日曜日の MAJER は午前8時半開店で、空腹のママ、午前11時前、Trenitalia Firenze Santa Maria Novella 駅に到着した。
午前11時にオープンする駅のカフェテリアで朝昼兼用の食事。
けっこう美味しい。
食事をしているあいだに、ちょうどよく、ホテルのチェックインタイムになる。
さあて、これから3日間は、フィレンツェ駅近くのひとつ星ホテル Hotel Ester だ。
まず、駅からは5分とかからなくて、とても便利。
辿り着いたのは、ひとつの建物にいくつものホテルが入っている雑居ビル。
そこでイメージしたのは香港の安宿の集合ビルである重慶飯店(チョンキンマンション)
エレベータは映画に出てくるワイヤ丸見えで、自分で網戸を開けて乗るやつ。
これは日本にはないタイプで、いきなり異国情緒(&一つ星感)をそそるではないか。
この調子ではベッドにシラミがいるかもしれない。
小説家的には、そういうのは悪い体験じゃないので、わざわざ選ばないまでも、結果そうなるのは実はいやじゃない。
ひとつ星ってどんだけひどいかわからなかったのだけど、実際の部屋は結構広いし、清潔で、しかも、さすがイタリア、インテリアのデザインもなかなか素敵。
おまけに、各部屋にパソコンもある。なんと、ケーブルテレビでオリンピックだって見られる。
というわけで、思いがけず快適でした。
午後、アカデミア美術館へ。
ミケランジェロのダビデ像で有名なところ。
夕食は、Ristrante Vincanto。
ウェイトレスは背の高いギリシャ美人。
インテリアと盛りつけが都会的だ。
ベネチアに比べてフィレンツェは都会。
腹ごなしに少し歩いてみると、ライトアップされた Duomo がとても美しい。
午前6時過ぎから起きて、ゆるりと仕事。
昼前、家から徒歩1分の Palazzo Mocenigo へ。
一部に現代アートの展示をしている(日本人の作品もけっこうある)けど、基本、かつての貴族の生活様式が偲ばれる部屋たち。
きれいな装飾の部屋、ベッドルーム、それにバスルームなんかも。
各部屋にあるシャンデリアが素晴らしい。
続いて、毎日前を通りながら足を踏み入れることのなかった San Giacomo 教会。
これがまた、思った以上によいのですね。
特に名所と言われる場所ではないのに、よいものがたくさんあるところがベネチアの凄いところ。
今日は、気温は29度だけど、風がなくて暑い。
安いけどちょっとウルサイ扇風機、大活躍。
煉瓦造りの建物と建物の間に溜まった熱気がそのままそこに居る。
6時過ぎに起きて、バスでマルゲーラの Questura へ。
正式のビザのある妻の配偶者あつかいでは滞在許可の延長ができなかった。
というわけで、僕だけ、予定よりも早く帰ります。
帰宅後、やむなく帰りの飛行機の手配。
日程変更のきかないチケットだったので、新たに購入する帰る飛行機代に余計な出費。
かなり痛い。
「90日以内に、一度、シェンゲンの外に出れば、また90日滞在できる」と、あまりにも多くの人が口々にいうので、安易にそれを信じていたのだけど大嘘でした。
今回、チューリッヒ入国するとき、「2ヶ月イタリアに滞在する」と言ったら、「前に58日滞在しているから、あと32日しかいられないよ」といわれて、え?と思ったのでした。
180日の間に90日までしか滞在できない。
そこで、最後の望みとして、滞在資格のある妻の帯同者として滞在資格を申請できるかどうかを確認しにいったら、「あんたはあんたで自分のビザが必要」と、いわれておしまい。
そもそも重要なことを自分で確認しなかった自分のミス。
『インバウンド』の初版印税で今年後半暮らしていかなくてはならなかったのだけど、途中、新刊のプロモのために一時帰国。二度目も往復チケットで来たけど、予定変更でもう一往復買い直し(イタリアから日本に戻る片道より往復が安いから)、とまあ、イタリアと日本を行ったり来たりの2往復に3往復分の航空券を買う羽目になり、滞在費と合わせて、ほとんど収入を使い切ってしまった感じ。
生活費、大ピンチ。
というわけで、次の本を早く出さないと、てことですね。
はい。がんばります。
とりあえず、みなさん、最新刊『インバウンド』を買ってください!
新聞広告も出て、日経新聞「今週のおすすめ3冊」にも取り上げてもらったところで、amazon は3回目の売り切れ。(あ、いまは「在庫あり」にもどってます)
おかげさまで大きめの本屋さんには、ほぼ全店置いてもらっているので、ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。
ジュンク堂那覇店では、売上週間ベストテン7位になっているとか。
ありがたや。
フィレンツェ行きと、ミラノ行きの列車の切符を買いに、サンタルチア駅まで。
そのあと、ユダヤ人街 Ghetto へ。
できたばかりらしい Majer でちょっと休憩。
Museo Ebraico の英語ガイド付きツアーで博物館と3つのシナゴーグを案内してもらう。
シナゴーグの内部を見るのは生まれて初めて。
ユダヤ人街は、ユダヤ人以外の観光客がこない居住地域なので、とても落ち着いている。
文字が違うのと、Kosher のレストランがあるのが特徴的。
ベネチアのユダヤ人といえば、「ベニスの商人」のシャイロックが思い浮かぶけど、いまではベネチアに住むユダヤ人は500人ほどしかいないという。
駅近くの裏通りのバーカロでプロセッコをひっかけて帰宅。
テラスをずっと執筆場所に使わせてもらっていた Museo Storia Naturale についに入場。
ほぼ毎日行っていたのに、展示室には入ったことがなかったのです。
大きな恐竜の骨の復元展示があったり、古生物の展示が面白い。
その他、展示のセンスのいい、思った以上に楽しい博物館だった。
ふつうにベネチア観光に来る人が求めているものとはまったく違うけど、イタリア国内の小学生なんかは印刷されてよく来ている。
いつも行っていた量り売りのワイン屋さんが、夏は月曜と金曜の午後しか開かない、ということで、わすれずにプロセッコを1.5リットル(3.9ユーロ)買う。
夕食は冷凍ピザとたっぷりのサラダ、そしてプロセッコ。

路線番号「6/」(ろく・スラッシュ)のバスで本土のマルゲーラにあるショッピングセンター “PANORAMA’ へ。
19.99ユーロの扇風機を購入。
(アパートにはエアコンはないのです)
中国製だけど、上手にコストダウンしていて、日本の企業には作ることのできない製品。
扇風機ごときにかっこつけてる日本メーカーの製品より、僕は好感が持てる。
いろいろな意味で「日本の過剰品質・過剰機能」が高コストや原子力発電や国際競争力の低下につながっているような気がする。もしかして、本質的なところでふつうに競争ができないから、高品質や高機能に「逃げている」んじゃないか?
広くて充実したハムやチーズの売り場が素敵。
対面販売でハムを切ってもらって量り売りで買ったことがなかったので、ついにそれに挑戦。
端を切り落としてサービスでその場で食べさせてくれた。
うううううう、おいしい。
これで100グラム(etto といいます=ヘクトグラムのこと)1.5ユーロとか。
人生、ハムとチーズと野菜で十分幸せ、という感じがするのがイタリア生活。
帰りはショッピングセンターの無料シャトルバスでベネチアへもどる。
もしかして、扇風機を買ってきたら、涼しくなった?
午前6時46分、目覚める。
出発予定時刻は午前7時、目覚まし止めてそのまま寝入っていたらしい。
シャワーはもちろん、朝食もコーヒーも摂取する時間はない。
スーツケースの蓋を閉め、冷蔵庫に残っていた野菜などを、瞬殺で処分。
ゴミをゴミ捨て場へ。
水を飲んで、タクシーを呼んで、洋服を着て出発したのは、午前7時15分。
沖縄行きの時にはタクシーで25分かかったけど、今度は10分で到着。
予定の時刻に午前7時半発の成田行きリムジンバスの車上の人となる。
チェックインした後、いつものパターンだと、空港ではクレジットカードラウンジで時間を過ごすのだけど、食事を摂っていないので、まずマクドナルドへ。
第1ターミナル南ウィングのTSUTAYAでは『インバウンド』が文芸新刊コーナーに1冊棚挿し。売り場の狭い青山ブックセンターでは扱いなしのようす。
午前10時過ぎ、チューリッヒ行きスイス航空の機上の人となる。
キャビンに草刈民代さんに似た体格のスタイルのいい品格のある女性が乗っている。
細い腕に男物の大きな時計をしている。
小学生くらいの女の子を連れていて、頭上の棚にバイオリンをしまった。
なんだか物語のある感じの人。
ひと眠りして寝不足を解消。
それから黄金町芸術学校のシラバスを書く。
「プロフェッショナル小説家講座」のようなもの、10月に開講予定です。
文章の書き方ではなく、「小説家」として必要な知識とスキルを考える内容。
Sony Reader で『政治家の殺し方』(中田宏 幻冬舎)を読む。
やっぱり、電子書籍は本を何冊持っても嵩張らないし、目が疲れにくいのがいいね。
これで読むのに慣れてくると、ページをめくらなければならない紙の本が面倒に感じられる。
海外へ出るときには飛行機の中で眠ればいいので、前日は無理に寝なくてもいい。
どうせ、時差があるので、日本時間の夜に寝ることが特別プラスにもならない。
飛行機がベルリン上空に差し掛かった頃、彼女がバイオリンを弾くのではないことがわかった。エメラルド色のマニュキアを施された左手の爪が伸びしている。
下りる時にみたらバイオリンは子供用だった。
あれ、お子さん、白人の血が混じっている。
結局、この親子とはベネチアまで一緒でした。
午後8時半、ベネチアのアパートに到着。
サン・ジャコモ広場の夏祭りの音が賑やか。
昨日、沖縄ロードから横浜へもどる。
さて、ゆっくり休む間もなく明日はイタリアへ出発なので今日はその準備。
準備といっても持っていくものを揃えるというよりも、長期に不在となる家の始末をつけるのが中心。
イタリアでの生活用品はあらかた向こうに残したままなので、新たに持っていくものは涼しくなってからの衣料品、あるとうれしい一部の食料品、妻のリクエストの枕、などなど。
事務所へ出かけ、事務的なことを少し。
編集者Sさんからメールが来て、本日付、沖縄タイムスの文化欄に掲載された記事のコピーが。
沖縄ツアーの成果がさっそく。
amazon が二度目の売り切れ状態に。
新刊効果で、旧作も少し売れたみたい。
最大の宣伝は本を出し続けることだ。
駅前の美容室で髪を切る。
編集者Tから電話、改稿中の長編の進捗状況。
事前に誘われていた野毛での飲み会は、開催時刻までに準備が完了するかどうかがわからなかったのでお断りしていたのだけど、それとは別な急なお誘いがあり、急な故に参加の可否がはっきりしていたので、少し遅れて参加。
建築家とアーティストと小説家の言いたい放題の会。(笑)
帰宅後、頭の中で整理されていて、実行されていない準備の残件を実行。
ベッドに入ったのは午前3時半、目覚ましは午前5時50分。
おやすみ、日本。

午前7時半起床。
大浴場で汗を流して、チェックアウト。
タクシーを呼んでもらって、新都心おもろまちへ。
約束の時間の1時間前、ミスタードーナッツで時間調整しながら朝食。
沖縄タイムス本社で学芸部による取材。
終了後、浦添のFM沖縄へ移動。
看板番組「ハッピーアイランド」に出演。
沖縄で一番人気のある長寿番組。
初対面ながらパーソナリティの多喜ひろみさんとも打ち解けて。
(実は、多喜さんが、「クラスメートの幼なじみ」であることが最近わかった)
それにしても月曜から木曜の生放送を20年以上続けている、多喜ひろみさんの、その技術と頭の回転と適切な心の反射神経に脱帽!
「ハッピーアイランドの本」も頂戴したので、サインをして戴きました。
放送の後、FM沖縄の応接室で、そのままタウン誌「おきなわ倶楽部」の取材。
タクシーでおもろまちに戻って、TSUTAYA那覇新都心店へ。
わああ、びっくり!
『インバウンド』が村上春樹『1Q84』の文庫と背中合わせで同じボリュームで多面展開。
次は、牧志のジュンク堂那覇店。
こちらも、超弩級の面展開。
阿川、目がうるうるしてきました。
県庁近くのホテルにチェックインしてから、編集担当のSさんと打ち上げに出る。
『インバウンド』(小学館)販売促進のための沖縄ロードはこれで終了。
洗練されているけど高くはない沖縄料理店での打ち上げでは次の小説の話なども。
土砂降りの中、店の閉店で追い出され、数十メートル走ったところにあった神戸バー「仲々」でワインを飲みながら雨の上がるのを待つ。

TSUTAYA 那覇新都心店では、なんと!『1Q84』(文庫版)と同規模の展開

ジュンク堂那覇店の店頭はこの迫力。著者本人もびっくり。
