再び、イタリアへ

 午前6時46分、目覚める。
 出発予定時刻は午前7時、目覚まし止めてそのまま寝入っていたらしい。
 シャワーはもちろん、朝食もコーヒーも摂取する時間はない。
 スーツケースの蓋を閉め、冷蔵庫に残っていた野菜などを、瞬殺で処分。
 ゴミをゴミ捨て場へ。
 水を飲んで、タクシーを呼んで、洋服を着て出発したのは、午前7時15分。
 沖縄行きの時にはタクシーで25分かかったけど、今度は10分で到着。
 予定の時刻に午前7時半発の成田行きリムジンバスの車上の人となる。
 チェックインした後、いつものパターンだと、空港ではクレジットカードラウンジで時間を過ごすのだけど、食事を摂っていないので、まずマクドナルドへ。
 第1ターミナル南ウィングのTSUTAYAでは『インバウンド』が文芸新刊コーナーに1冊棚挿し。売り場の狭い青山ブックセンターでは扱いなしのようす。
 午前10時過ぎ、チューリッヒ行きスイス航空の機上の人となる。
 キャビンに草刈民代さんに似た体格のスタイルのいい品格のある女性が乗っている。
 細い腕に男物の大きな時計をしている。
 小学生くらいの女の子を連れていて、頭上の棚にバイオリンをしまった。
 なんだか物語のある感じの人。
 ひと眠りして寝不足を解消。
 それから黄金町芸術学校のシラバスを書く。
「プロフェッショナル小説家講座」のようなもの、10月に開講予定です。
 文章の書き方ではなく、「小説家」として必要な知識とスキルを考える内容。
 Sony Reader で『政治家の殺し方』(中田宏 幻冬舎)を読む。
 やっぱり、電子書籍は本を何冊持っても嵩張らないし、目が疲れにくいのがいいね。
 これで読むのに慣れてくると、ページをめくらなければならない紙の本が面倒に感じられる。
 海外へ出るときには飛行機の中で眠ればいいので、前日は無理に寝なくてもいい。
 どうせ、時差があるので、日本時間の夜に寝ることが特別プラスにもならない。
 飛行機がベルリン上空に差し掛かった頃、彼女がバイオリンを弾くのではないことがわかった。エメラルド色のマニュキアを施された左手の爪が伸びしている。
 下りる時にみたらバイオリンは子供用だった。
 あれ、お子さん、白人の血が混じっている。
 結局、この親子とはベネチアまで一緒でした。
 午後8時半、ベネチアのアパートに到着。
 サン・ジャコモ広場の夏祭りの音が賑やか。