月別: 2007年10月

第一神様

 手がけている長編について、第一回目の小説の神様、いらっしゃいました。
 編集者とは年内にもう一冊出しましょう、ということになっていたのに、なかなか構想がまとまらず。何ヶ月も苦悶してたけど、やっと、自分の背中を押せるところまできた感じ。
(編集のOKが出るかどうかはまた別だけど)
 少なくとも、こんなのを書きたいのだ、と胸を張って言える気持ちになった。
 というわけで、一区切り。
 目の前が開けてきたお祝いに(笑)、午後11時を過ぎてから野毛へ出かけて呑む。
 なじみの店で、ゴキゲンになって帰ってきました。午後2時過ぎ、徒歩で帰宅。

ライフライン

 朝まで資料読みをしていて、起きたのは昼だった。
 さあて、朝ご飯だ、そのまえにトイレ……、ん? 水が出ない。
 そうなのだ、今日はマンションの共有部分の電気工事があって、各戸には電気が来るが共用部分は午前10時から午後2時半まで停電と、たしかに聞いていた。
 考えてみれば当たり前なのだ。
 ポンプで水をくみ上げられないから水道も出ない。
 ビルの入口の機器の電源が落ちるから、そこからLANになっているインターネットも使えない。
 エレベータやタワー式駐車場が動かない程度だと思っていたが、仕事ができないばかりか、顔も洗えないし、もちろん朝食も摂れない。
 まいったな、というわけで、身支度をして、階段で階下へ降り、近所のマクドナルドで朝食(クーポンを使って370円)。
 まだライフラインは回復していないので、その足で近所で借りているバイクの駐車場まで行き、月極駐車の支払いをする。
(夏前を最後に脊椎の病気のせいでオートバイに乗っていないので、純然たる保管料)
 期せずして、災害などで停電になると、マンションというのはこういう風になるのだな、というシミュレーションになった。
 復帰する時間を見計らって帰宅。
 あとは、引き続き資料読み。
 夕食は、おでん。
 その後、また資料読み。

映画『Aサインデイズ』 沖縄の風

 昨日はシリコンバレーの風だったけど、どうやら今日は沖縄の風。
 まず、12月に行くANAのチケットをファイナライズ。
 そしたら、Gyaoのメールで映画「Aサインデイズ」がまもなく終了という連絡。あわてて観る。
「Aサインデイズ」は、ベトナム戦争当時の沖縄コザが舞台。 コザは、嘉手納基地の門前町で、僕がいつも行っている場所だ。今となっては一緒に呑んだ友だちが20人くらいはいる。
 この映画は、『喜屋武マリーの青春』というノンフィクションが原作で、コザが他のどこにも似ていない形で独特の輝きをもっていた時代の物語だ。
 中に出てくるライブハウスは、「セブンスヘブンコザ」にそっくりだし、「ニューヨークレストラン」に似ている店も出てくる。裏通りも見たことのあるようなところ。
 日曜日(28日)に開店40周年を迎えたいきつけの「カフェオーシャン」もかつてはAサインバーだった。映画に出てくるライブハウスもカウンターはむしろこっちの店に似ている。
 そんなわけで、今晩はコザのことを考えている夜である。
 次の小説は歌舞伎町を舞台にニキータのような女性(?)を書くつもりなので、プロットをつくりながら、歌舞伎町関係の資料を読んでいる。
 あとは、ドーピング関係の資料調査。もうひとつは、この間取材をしたシャッター通り商店街。
 なにしろ、当分長編書き下ろしが続くので、いろいろと資料読みや取材準備が同時並行。
 コザのホテルも予約しなくては。

シリコンバレーの風

 先日、初めてあったプロデューサーに自分の略歴について語った折、久しぶりにシリコンバレーのことを思い出した。
 そんなこんなで、どうも僕の周囲にシリコンバレーの風が吹いているようで、彼の地でコンサルティングファームを起業した、『覇権の標的』の篠原翔子と『D列車でいこう』の深田由希、という僕の小説の女性主人公(どちらもMBA)を足して二で割ったような女性を偶然発見したかと思うと、今日は、ヨットの帰りに、久々にFEN(810KHz)なんか聴いたら、車の中で聴く英語のラジオ放送から、すっかり、シリコンバレーにいたときの気分になった。
 慣れ親しんでいながら微妙に孤独なあの町で、いつも張りつめた気分で、最高速がなかなかでないプロジェクトにイライラしながら、アメリカと日本を50回も60回も行き来していたころの気持ち。
 いま思うと、それは当時感じていたほどには決して楽しくはなかったけれど、ものすごく「仕事をしている」という充実感には満ちていたように思う。
 仕事が忙しくて、成田空港で飛行機の出発を待つ時間しか床屋へ行く時間がとれなかった頃。
 一度もベッドで眠ることはなく、飛行機で寝ていた、東京-サンフランシスコ-ニューヨーク-東京のゼロ泊3日の出張。
 航空会社のマイルがどんどん溜まるのに、出張以外にもう飛行機での海外旅行になんてこれ以上行きたくないので、使いようがなかった。英語で寝言を言ったこともあるらしい、あのころ。
 日本にいても、いまなら想像もできない馬鹿でかい携帯電話をいつも鞄に入れ、贅沢のためでなく、電話をする時間を作るためだけのために電車でなくタクシーで移動していたし、日曜日の朝には、ヨットから国際電話をかけていた。
 いま思うと、ほんと、バカみたいに忙しかった。
 いまだって、そういう働き方をしている人は世の中にたくさんいるんだろうな。
 ラジオはあのときのある日のように、ハロウィンの話題を繰り返していた。

ヨット教室

 我が艇<Stella Maris>が所属しているヨットクラブでは、年に2回、3ヶ月ずつヨット教室を開催している。今回も3人の生徒さんがうちの船に配属になって11月まで教えることになっている。
 今日はいつもの相棒が仕事で休みなので、僕と生徒さん2名の合計3人で出艇。
 台風一過の気持ちの良い天候で、風も強すぎず弱すぎず練習日和。
 午前10時40分に出艇して、午後2時前までいろいろなシチュエーションを練習。
 もどってきて、近所の釣り客向けの食堂で昼食を摂り、片づけて、いつもより早く午後3時半頃解散。
 夜は、プロ野球日本シリーズテレビ観戦。
(大リーグのワールドシリーズは録画してあるけど、まだ見ていない)
 沖縄行きの飛行機のチケットをファイナライズ。

資料読み

 資料読みのため、昨日も今日も、自宅から一歩も出ず。
 地味な暮らし。
 夕食前後は、日本シリーズ、中日対日本ハム。
 子供の頃、名古屋に半年住んでいたことがあり、その半年が人生でいちばん野球をやった時代(ほんとに毎日やっていた)なので、中日ファン。
 日ハムのダルビッッシュ投手がすばらしくて負けてしまったけれど、川上も良かったし、引き締まったすごくいい試合だった。大リーグばかり見ていて、日本のプロ野球の試合を最初から最後まで見ることはほとんどないのだけれど、今日の試合は面白かった。
 その後は、また資料読み。
 おかげさまで、とにかく注文がいっぱい来ているので、次の小説や次の次の小説やその次の小説の資料などを並行して集めながら、取材の方針や、資料集めのための基礎的な調査とか、いろいろなことをやっていかなくてはならない。
 資料を見ているととても楽しいのだけれど、原稿が一枚も進まないので、それはそれで不安になる。
(近ごろ、資料読み方面ばっかりしているし)

歌舞伎町で悪だくみ 湖南菜館 歌舞伎町案内人

 新宿で打合せがあるため、運動がてら横浜駅まで歩く。
 そこから湘南新宿ラインで新宿まで。
 登亭の前を通って「そういえば、鰻、しばらく食べていないなあ」なんておもいつつ、まだ少し時間があったので、紀伊國屋で自著の棚位置を確認したりしながら、TOPS BEER BAR の Happy Time で400円のビールを飲みながら少し仕事。
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 歌舞伎町案内人・李小牧さんが8月にオープンした湖南菜館に定刻7時に到着。
 来年いっぱいまでの長編書き下ろしの仕事がびっしり入り、さらには2009年にはかなりいろいろな形で阿川大樹の仕事が表に出てくるような動きがたくさん。
 たいへんありがたいことだけれど、いままでの努力がいろいろな形で実りつつあるところ。なんとか「小説家」というビジネスの世界で生き残っていける感触を得つつある。あくまでまだ感触であって、実現させていくのはこれから。
 ところで李小牧さんとは数年前に某出版社の紹介で仕事を一緒にしそうになって、なんどか朝まで飲んで話をしたことがあるのだけれど、その頃から歌舞伎町の表のビジネスでもめきめき頭角を表して、すっかり有名人になっただけでなく、いまでは商店会や行政にも認められる存在になった。
 この湖南菜館はその李さんが妥協なしでつくっただけあって、料理もとってもおいしくて価格もリーズナブル。とてもいいお店になっていた。
 こちらの打合せ中、なんども李さん直々に料理を運んできてくれたり、料理長をテーブルまで連れてきて紹介してくれたり、力の入れようが伝わってくる。
 たらふく美味しいものをご馳走になったあとは、ゴールデン街をハシゴ。
 終電で帰宅。
 

Pizzeria VISCONTI

 夜は、中華街外れにある、”Pizzeria Visconti”。
 ガス釜だけど、ちゃんとしたピザ窯があるほんとの Pizzeria。
 値段は1枚が1350-1600円くらい。
 チーズの使用量が少ないので、面積の3分の1はピザでなくナンを食べているみたいだけど、ちゃんとした窯で焼いているので、チーズのあるところはおいしい。値段を上げていいからチーズを増量して欲しいところ。
 というわけで、めっちゃおいしいと絶賛する気にはならないけれど、この値段なら値段なりに楽しめる店というところかな。

四五六菜館本館

 夕方から中華街で集まりがあるので、仕事用のパソコンをリュックに詰めて集合時刻数時間に中華街へ。
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 横浜で中華といえばなんといっても野毛だけど、中華街もランチなら安い。
 ご飯、オヒツから食べ放題。お茶はステンレスポットで。
 これにデザートの杏仁豆腐がついて、630円。大満足。
 中華街はいつも観光客で賑わっているので、かつての中華街ならではの安くて美味しい店は絶滅寸前。(あるにはあるけどここでは内緒)
 おいしいけど安くなかったり、値段を考えたらさほど誉められた味ではない、という状態だったり。
 ただし、ランチは店によって安く提供している。
 美味しいものを作ることができる料理人が安いからといって不味いものをつくることはないので、そういうランチがお買い得。
 他にも探せば、500円-700円の価格帯で、おいしいランチが食べられます。
 で、ブレンズコーヒーで小説書き。
 1時間ほどで疲れてしまって、中華街や山下公園を散策。
 ちょうど夕方に近づいて日差しが隠れたので、氷川丸の前のベンチでノートパソコンを開いて仕事の続き。

十三夜に曇りなし

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 そごう横浜店まで徒歩で出かける。
『雲上都市の大冒険』(山口芳宏 創元社)と「問題小説」(徳間書店)を買う。
『雲上……』は友人の山口芳宏さんのデビュー作で第17回鮎川哲也賞受賞作品。
「問題小説」はソフトボール仲間の小沢章友さんの短編が載っていたので、なんとなく買ってみた。
 近くの時計売り場で腕時計の電池交換。
 このSEIKOの腕時計は、何年か前、長編を書き上げたときに、なんとなく「自分にご褒美」という感じで
ちょっとだけ奮発して買った時計。なんとなく記念すべき瞬間だと思ったんだよね。
 できあがりを待つ間、ロイヤルサロンで、無料のコーヒーを飲みながら読書。
 ロイヤルサロンというのはそごうの上得意向けのサロンなんだけど、以前、近くに住んでいたというだけで、最初の何年間はこの会員になれるというのがあって、駐車場がタダだったりするので、入会したやつだ。もちろん実績としてたいした買い物をしていないので、次に期限が切れたら特権はなくなる見込み。
 久しぶりにそごうの紀伊國屋に来たら、なんとなくうれしくて、時計を受け取った後もまた店内をうろちょろ。近ごろは amazon の通販で本を買うことが多くなってしまっているけど、本屋は楽しい。
 再び、徒歩で帰宅。
 途中、スーパーへ立ち寄って買い物。
 サンマが1尾50円だったので、今夜はサンマだ、大根おろし用の大根の方が高い。(笑)
 というわけで、スープと「大根の炊いたん」などもつくって、秋刀魚定食という感じの夕食。秋だ。
 今夜は十三夜。
 中秋の名月の十五夜の月を見たらその次の十三夜でもお月見をするのが正しい習慣なのだそうだ。つまり、このふたつはセットだってこと。
 て、テレビの受け売りだけど、そんなこと、五十二歳の本日までちっとも知らなかったよ。
 ちらっと見ただけだけど、たしかに空気が澄んでいてきれいだった。
 月齢十三の月は、たった二日分だけど、随分欠けている。