月別: 2008年1月

書きたい小説と売れる小説

「売れる本と書きたい本のどちらに重きを置いていますか」
 と、まあ、そんなふうな質問を戴いたことがあります。
 ところが、僕の中で書きたい本と売れる本は対立概念じゃないので、「どちら」という感覚は全くないのですね。
 まず書きたいことはものすごくたくさんある、ということ。
 書きたいことが少ししかないと、それが売れなさそうってこともあり得ますが、書きたいことがたくさんあるから、そのなかには売れる可能性が十分にあるというものもたくさんある。したがって、売るために書きたくないことを書く、ということが生じるとはまったく思っていません。
 では、書きたいものの中で売れそうにないから書けないものはあるか。
 ある時点ではそれはあります。
 たとえば、修業時代が長いですから、書き上がった長編短編が何作かあります。それぞれ書きたかったものを書いた。でもって、まあ、いろいろな事情でいまは売り出せないということはある。
 先日の推理作家協会のパーティでも、とある編集者からこんな質問を受けました。
「**の小説、いまどうなってますか?」
 **というのは、デビュー前にその出版社に持ち込み、某賞の応募作としてその編集者に読んでもらった作品のことです。数年前のことですが覚えていてくれたんですね。
「いやあ、***だったりしてなかなか出せないんですよ」
「あれは面白いから、多少手を入れた上で何年かしたら出版できますよ」
 と、いうわけです。
 すべては基本的に阿川大樹のネームバリューの問題です。
 阿川大樹という名前で買ってくださる読者が増えれば、出版社の方からぜひうちで出版したい、というようなことを必ずいってくるようになる。
 どんなに売れっ子になっても、すべての出版社がなんでもいいから原稿をくれというわけではありません。
 5000部でも採算が取れるけど、どうせなら5万部、できれば50万部と要求水準もそれなりに上がっていきますから、「そっちじゃなくってどうせならこっちで行きましょうよ」ということになる。
 ですが「いい小説」という概念に沿うかぎり、どこかにそれを出したいと思ってくれる出版社はいる。そういう小説を求めている読者も必ずいる。
 しかし、そういう出版社にしてもリスクを負えないから、おいそれとは出せない。でも、阿川大樹という作家にネームバリューがつけば、少なくとも損をしないくらいには売れるようになる。つまり自分の力で出版社のリスクを減らすことができる。
 売れる作家になれば、(出して損をするほど)売れない小説というのはなくなるので、書きたい小説が(程度の差こそあれ)すべて売れる小説になる。
 作家は自分の力で「売れないと思われた本」を「売れる本」に変えることができる。なので、書きたいことがたくさんあり、それで売れていくことができれば、基本的に書きたい本はやがてちゃんと世に出せる。
 いま売れそうにない本は、それなりに売れる本に変えてから(つまり阿川大樹にネームバリューを付けてから)売り出せばよい。
 新製品を出すときには、製品を今の需要にマッチさせるか、あるいは、製品を売るために需要を創出するか、すればいいわけです。
「阿川大樹の小説」という新しい市場ができれば、そこで商品化が可能になる。市場のないうちに無理に新製品を出す必要はない。
 いかにも売れなさそうな小説しか書きたい小説がない、という作家の人はこれはかなり悶々とすることになるでしょう。自分の中で「売れる本」と「書きたい本」が対立しちゃいますし、編集者もそれを感じとりますから。
 阿川の場合は、さいわいそういうことはないので、とにかくどんどん書いて、実績を積むことが、さらなる自分の自由度を獲得する武器にもなる、と考えているわけです。
 そのために個々の作品毎に待ち時間ができることは全然問題ない。
 そもそも書きたいものというのは、たとえば中学生からもっていたものであったりするわけで、すでに四十年くらい体の中にしまってあるものだってある。この先十年余計に温めておいてもどうってことないですし、それまでのあいだ、別の「売れそうな書きたいこと」をどんどん書いていればいい。
 はたして、結果が思った通りになるかどうかは、すべて日々書いている作品の結果にかかっている。毎日がその戦いの一部であるし、もしかしたらそれは綱渡りでどっかでハシゴを外されてそのままお陀仏なんてこともあり得ますけれど。
 分野こそちがうけれど、イチローや松坂と同じプロの世界にいるわけだから、当たり前のことです。
 プロである以上、一打席一打席、一球一球が、勝負。
 そして書きたいことを書ききるまでこの世に生きているということ。
 あと、ついでにいえば、「根拠のない自信」というのも腕一本のプロフェッショナルに必須の才能だと思います。(笑)

Wii 友だち

 昨日は、カミサンの同僚であるMさんが Wii Fit をやりにワインをもって来訪。
 Mさんは、ラジオやテレビの英会話講座なのでも有名な人です。
 僕はいままで電話でしか話したことなかったんだけど、とにかく賑やかで out-going な人。
 彼女が Wii Fit をやっている最中、僕は隣の部屋で仕事をしていたんだけど、女子高生みたいにきゃあきゃあいいながらやってました。
 7時頃からはワインを開けて僕も参加しておしゃべり。
 しまった。ハンドボールとサッカーの録画を忘れちゃった。
 7時前にビデオをセットしに居間へいったハズだったのにMさんの話に引き込まれてすっかり頭から飛んじゃって、気がついたのは彼女が帰ったあと。
 時すでに遅し。
 ニュースの時間にダイジェストをみれば、時間が節約できるから良い、ということにしましょう。
 というわけで、我が家の wii には、彼女のアバターが増えました。
 だからといって Wii が「テレビ英会話」になったりはしないだろうけど。(笑)

推理作家協会新年会

 ホテル・エドモントにて推理作家協会の新年会。
 開始10分前、飯田橋の駅からホテルへ行く途中で立食い蕎麦。まもなくホテルのパーティ料理を食べられるというシチュエーション。でも、立ち食い蕎麦が食べたかったんだからしょうがない。
 1万円の会費の元を取ろうというのではなく、いまはローストビーフよりもたぬき蕎麦が食べたいという欲望を満たすこの贅沢。(笑)
 そんなわけで、5分くらい遅れてパーティ会場へ。
 ちょうど大沢在昌理事長が挨拶中。
 次は内田康夫さんの乾杯の音頭。
 まずは知り合いの編集者を見つけては近況報告。
 パーティ常連の遊び仲間(僕はソフトボールご無沙汰中だけど)に挨拶。
 そのテーブルではフォアグラ丼がブームになっていたので、そこで僕も最初の料理として「体に悪そうだなあ」とみんなでいいながらフォラグラ丼を。
 美味しいけど、たぬき蕎麦といい勝負かもね。(笑)
 同じくパーティ常連だけど話すのは久しぶりの鈴木輝一郎さん。
 ビンゴが始まり、一等の Wii + Wii Fit を当てたのはすがやみつるさん。
 僕も3番目くらいにビンゴ!だったんだけど、同時ビンゴが二人いてジャンケンで負けてしまった。ジャンケンで負けた場合、次の賞品がもらえるのではなく、そこで一切の権利が消失するのが推理作家協会方式。次の賞品は次にビンゴになった人のもとへ。
 本日、新たに始めて話をした先輩作家は、楠木誠一郎さん、楡周平さん、佐々木譲さん。
 重鎮たちが銀座のおねえさまたちに拉致されて会場も少し空いてきたところで、すがやみつるさんと新宿へ向かう。(すがやさん、Wii が重そう)
 お決まりのコースで2軒ハシゴして、終電で帰宅。
 夜型の時はそこから原稿書きだけど、いまは朝型なのでバタンキュー。

初ヨット

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 今年初めてヨットに乗って来ました。
 まだ長編は仕上がっていないけど、仕上がるつもりでスケジューリングしたら、クルーは何人か集まったのに参加できるオーナーが僕だけになってしまったもので、「やあめた」ができなくて。
 ゲストを含めて女性4人と男一人僕、というハーレムで、はたから見ると羨ましがられそうだけど、実際は男女問わず、安心できるメンバーと乗っているのがいちばん楽しい。
 完全防備で海へ出たら、ほとんど寒くなかった。
 海水温は10.4℃。空気よりも十分暖かい。
 かなり風が強くて、少し飛沫をかぶりました。
 昼過ぎにホームポートへもどって、クラブハウスで鍋。
 セーリングも楽しかったし、富士山見たし、鍋もうまかったし、大満足。
 写真は新米クルーのAちゃんが作ってきてくれたティラー(舵棒)カバー。
 本日、初お目見え。

野毛でサボリNight

 昨晩は心身共に疲れ気味だったので、野毛へお出かけ。
 まず書いている部分を印刷して、デニーズで赤入れ。
 コーヒー220円おかわり自由。
 夕方五時を過ぎて、焼き鳥「末広」へ。
 この時刻でほぼ満席だ。
 末広は評判の店で名前は知っていたけど僕は初めて。
 安いしネタもいいし食べ物としては美味しいのだけれど、まったく焦がさない焼き方なので、焼き鳥らしい香ばしさがないのがおおいに不満。
 店に煙が立っていないんだもん。
 都橋商店街の「華」に流れ、最後はショットバー「日の出理容院」。
 日の出理容院はむかし床屋だった店構えそのままで外にはバーともなんとも書いていないのだけれど、中にはいると女性のバーテンダー一人でやっていて、ジャズがゆっくり流れている普通のショットバー。
 ここも初めてだったので、バーテンダーの腕を知るために、「ラムでなにかショートカクテルを」と頼んでみた。
 はたして出てきたのはXYZだった。ずいぶん甘くて僕の好みじゃない。
 チャージがなしで、2杯で1200円は格安だから、カクテルじゃなくてウィスキーなどをショットで飲むならいいと思う。
 仕事しないと目も含め、体が楽だ。
 朝型で暮らしているので、午後9時を過ぎると眠くてだめ。

大藪春彦賞

 今晩は大藪春彦賞の選考会があるのだそうだ。
 で、編集者からのメール曰く、
「来年の賞の候補になるような作品を目指しましょう」
 て、このひと作家を乗せるのがうまい。(笑)
 はい、こんどの長編はハードボイルドでございます。
ちなみに、結果、賞は近藤史恵さんと福沢徹三さんに決まり。
大藪賞の受賞作はこんな感じ。
 第1回(1999年) 馳星周 『漂流街』
 第2回(2000年) 福井晴敏 『亡国のイージス』
 第3回(2001年) 五條瑛 『スリー・アゲーツ』
 第4回(2002年) 奥田英朗 『邪魔』
 第5回(2003年) 打海文三 『ハルビン・カフェ』
 第6回(2004年) 垣根涼介 『ワイルド・ソウル』、笹本稜平 『太平洋の薔薇』
 第7回(2005年) 雫井脩介 『犯人に告ぐ』
 第8回(2006年) ヒキタクニオ 『遠くて浅い海』
 第9回(2007年) 北重人 『蒼火』、柴田哲孝 『TENGU』
 第10回(2008年) 近藤史恵『サクリファイス』、福沢徹三『すじぼり』
 ためしに、既刊本を対象にした非公募の文学賞にどんなものがあるか調べてみたら大衆文学(笑)だけでも、こんなにありました。直木賞以外は一般の人はほとんど知らないと思うので、きわめて業界的なイベントですね。
 直木三十五賞 山本周五郎賞 吉川英治文学賞 吉川英治文学新人賞 新田次郎文学賞 柴田錬三郎賞 島清恋愛文学賞 日本冒険小説協会大賞 婦人公論文芸賞(2006年から中央公論文芸賞に変わる) 日本推理作家協会賞 大藪春彦賞 日本ミステリー文学大賞 本格ミステリ大賞  とか。

阿里城 みなとみらい店

 午前中、執筆、絶好調。
 昼は近所にできた中華のお店「阿里城」でレバニラもやし炒め定食(650円)。
 このお店は桜木町に本店があり、関内にも支店がある。
 台湾人のお店なので、中華のお店にしては感じがよいし味もよい。そして安い。近くにここがあったら、ますます中華街に行かなくなるなあ。
 帰宅途中、「問題小説」を買いに久しぶりにツタヤに行くが、やはり置いてない。で、久しぶりにCDを4枚借りてくる。
 半額クーポンがネットにでているらしいけど、まあいいや、と鷹揚。
 午後の仕事は、小説以外。
 簡単なことなのだけれど、ファイルが古いパソコンにしかなかったので、そこから探し出すのに時間がかかってしまった。
 それが終わって小説に手をつけるかスポーツクラブに行くか、迷ったけれど、 結局、本年2度目となるスポーツクラブへ。しかも、昨年夏の入院前からずっとプールしか行ってなかったので、ジムへ行くのは相当久しぶりだ。
 ジムはマシンが全部入れ替えになっていた。浦島太郎の気分だ。
 ただし、こちらはじっくりストレッチをやるのが目的なので、黙々とひとりであんなことやこんなこと。
 有隣堂ランドマーク店にも「問題小説」はない。
 好調なのに、終わってみるとそれほどには小説がすすまなかったなあ。
 まあ、健康第一ということで。

おはようございます

 午前3時に起きました。
 疲れが溜まっていて、原稿書くか、Wii Fit やるか、食事を摂るか、それ以外の時間はソファで寝ている。
 ちかごろベッドで寝てません。
 いえ、FUKLA のソファの寝心地がすごくいいので、それ自体は健康上問題ないんだけれども。
 執筆のコンディション自体は悪くないけど、体力が尽きてきてそれが気力に影響している感じ。
 このままゴールまでつっきるか、いちど休みを入れるか、むずかしいところ。休み入れてテンション抜けたら10日くらいロスしそうで。
 近所の店で、マッサージでもしてもらおうかな。
 宣伝見ていてなんでも女性向けにできていて、男は入りにくいのよね、癒し系産業。
 といって、男性向けマッサージなんていうと別のサービスみたいだし。
 町で「マッサージ」の看板みて「いかがわしい店」だったらどうしよう、という理由での入りにくさもあります。
 なんとかしろよ、マッサージ業界。

ひきこもりの小説家

ひたすら原稿書き。
午後3時からは Blenz Coffee で原稿書き。
ついでにスーパーで買い物をして帰宅。
でも夕食は手抜きで近所の大戸屋。
今年に入って葬式以外で遠出をしたのは1日だけ。
携帯電話の通話ほとんどなし。パケットもちょびっと。定額制なのにもったいなあと思ってわざとパケットつかってみたり。
焼き鳥食いてえ、ゴールデン街行きてえ、野毛行きてえ。
身体に悪いコトしたい。(小説書くこと以外で)

「問題小説」2月号

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(クリックすると拡大します)
「問題小説」2月号(徳間書店)、いよいよ明日(1月22日)発売です。
   巻頭グラビア 阿川大樹・赤レンガ倉庫にて (合計3ページ)
  「ショウルームの女」阿川大樹 短編ミステリー 50枚
文芸雑誌(小説誌)初登場。巻頭グラビア独占(笑)ももちろん初。
売ってるところには普通に売っていますが、売っていないお店もかなり多いのです。すみません。