手術後7日目 DAY8:9月6日
前夜から同室内の排便問題がたびたびあった。
病院だから、そういうことは当たり前で、同室者として別に迷惑だとも思わないけれど、ご本人はきっと気にしているんだろうな。手術後、身体が不自由で身動きができないのにそういう心労を抱くことが辛いところ。
病院生活はそれぞれが自分第一にしてよいところだと思う。いわば迷惑をかけ合いながらみんなで病気を克服していく共同体だ。
午前3時、目が覚めたところで起きてしまおうかと思ったけれど、結局、次に目が覚めたのは午前6時20分、夜勤の看護婦さんKさんが採血に来たときだった。
朝の室温は23度代、この2週間ほどですっかり涼しくなった。起きている時間には上に羽織る衣類が必要になってきたな。
デイルームへ出て、メールのチェック。留守電に病気を気づかう友人のメッセージ。
今夜、台風が来るということで、横浜港が見渡せるこの病院の人はけっこうみんなわくわくしている。なんだ、台風が好きなの僕だけじゃないんだ。被害を受ける人もあるから、おもてだってはいえないけど実はみんな台風が好きなのだ。もちろん他人の不幸が蜜なのではない。自然の力を目の当たりにするところと、いろいろな非日常の緊張感が好き。
ちなみに台風時のスタッフの出勤対策として仮泊施設など病院からの特別な配慮はないそうだ。医療スタッフだから何があっても出勤しなければならないのだけれど、現場は厳しい。
午前9時前、隣人の下痢が止まらないようだ。浣腸が効きすぎている。
いろいろ匂うのはともかくとして、たびたびシモの世話になることについて、本人がかなりめげている。
そんななかで、ナースが小さな事を誉めたりして元気づけたりしながら、手際よく、シモの世話をしつつ、体を拭いたりして、まるで手術のチームワークのよう。
その最中にも他の病室からのナースコール、たびたび鳴り響き、さながら戦場、またはドラマ「ER」の様相。
今目の前の状況は、おそらくそのどれもが生命に関わるものではないと思われるものの、時々刻々の判断をしながら、凛々しく仕事をこなす、ナースのかっこよさといったら。
その手際とリズムを見ると、救急医療も手術もおむつ交換も仕事に貴賤がないのがよくわかる。これもいい取材成果だ。
午前9時前、部屋の引っ越し。
手術後、ナースステーション近くの部屋に移っていたものが、手間のかからなくなった患者は入院時の部屋へ出戻り。窓の景色が少し変わる。左遷というのか出世というのか。(笑)
回復してくると当然ナースの世話になることが減ってくるのだけれど、面白いもので、手術直後の人なんかが世話をしてもらっているのを同室で見ていると、ちょっと羨ましかったりする。


月曜日と木曜日が手術日なので、この病棟では火曜水曜は静かで、木曜は戦場になる。
ただし、すでに快方に向かっている患者ばかりの部屋に引っ越したので、午後は安穏。窓から台風で荒れてきた景色を見ながら雑談したり原稿書いたり読書したり。
午後、高校の後輩Mちゃんが見舞いにやってくる家族以外の見舞客第一号。ヒマワリの花束を戴く。お、置き場がない!
リハビリの負荷が高くなってきて、けっこういっぱいいっぱい、筋肉ヒクヒク。
風の音がいよいよ激しくなり、風力発電の風車は止められている。
そのまま台風の夜となる。
