太平洋から東シナ海へ

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 航海二日目は終日航海。
 とりあえずジョギング。
 船の6階の外部デッキを一周できるようになっている。一周500m弱だろうか。
 しっかりロングタイツの完全装備の人、夫婦でジョギングの後に仲良く喫煙している人、僕の後方にぴたっと付いて来る人、何度も追い越していく人、などなど。
 その後はのんびりデッキで読書でもしようという計画だったが、どっこい曇ったり雨が降ったりで肌寒い。
 朝食はアラカルトのファンタジア・レストランへ。
 これが大混乱で、オーダーしてから2時間経っても料理が出てこない。
 部屋までは来ているのに、いつまで経っても席に配られて来ない。
 痺れを切らして注文が届かないまま席を立って、ビュッフェレストランへ鞍替えする人多数。
 こういうとき、小説家は得だ。
 トラブルが起きれば起きるほど、その原因は何なのか、トラブルの最中、そこで巻き込まれている人たちはいったいどのように行動するか、それをずっと観察していて飽きることがない。
 イライラするどころか、興味津々なのだ。
 ま、料理がでてこないとお腹はどんどん減るけどね。そんなことは人間模様の観察に比べれば大した問題ではない。
 やがて客の一人がフロアの離れたところにいる日本人の担当者に事情を連絡。
(何しろ、2000人の乗客が数カ所のレストランで食事をするので、メインレストランのフロアは広く、テーブル数は多い)
 本来、ウェイトレスではないHISの女性スタッフが、その場でできることをやろうとするのだが、彼女自身がいらだっているのが表に出て、それがこちらにも伝わってくるので、かえって客の心がささくれる。
 接客業は笑顔で仕事ができないならたとえそれが客のためでも余計なことはしない方がマシだったりするのだなあ、と知る。ご飯が食べられないことよりも、彼女のギスギスした立ち居振る舞いの方が不快になったりするのだ。責任感と善意によるものだとはいえ。
 注文した料理ができあがってフロアに届く頃には多くの客が業を煮やして席を立ってしまっていたので、後には食べる人のいない料理が大量に積み上がって壁を作っていた。
 午前7時半にレストランに入って食事を終えて席を立ったのは午前10
 昼食はビュッフェレストラン。
 夕食は、有料の特別レストラン・マニフィコ。
 マニフィコはサービスの質は高いがそれでも完璧ではない。
 でもフルコースで33.5ドルとしては優秀だとは思う。
(他のレストランでは無料でフルコースを食べることができるので、値段の差は数字以上に大きいわけだけれど)
 すべては値段に見合えばフェアなのであって、安い店で高級店と同じサービスを求めるのは間違っている。ましてやイタリアの船に乗って完璧なサービスを求めるなんてお門違いだと、今の僕なら思う。
 昨年、イタリアで暮らした経験が活きている。
 完璧なディナーと、まあまあのディナーの価格差は10倍くらいあっても当たり前なのである。
 この有料レストランでは、バイオリンとピアノの生演奏があるのだけど、まあ、けっこう荒っぽい演奏で、絶対に東邦学園の音楽科には入学できないだろうな。
 最後にバイオリニストがうちのテーブルに来てリクエストを取り、目の前で演奏してくれた。
 イタリア人かと聞いたらハンガリー人だと。
 Costa Victoria の今回の航海はHISのチャーターなので乗客2000人はほぼ日本人ばかりだけど従業員は極めて多国籍。
 確認しただけで、日本、韓国、中国、インド、ペルー、インドネシア、シンガポール、ハンガリー、そしてイタリア。
 船籍はイタリア、船長はイタリア人で船の運航はイタリア人が中心のようだけど、レストランやその他の接客系は中国人が多く、イタリア人はほとんどいない。
 クルーの間でもイタリア語は公用語ではなく英語のようだ。(イタリア語、改めて少し練習してきたんだけど)
 トスカーナの赤ワイン(62ドル)はよい感じでした。
 
 本日もワインを飲んでバタンキュー。お休みなさい。
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