西洋史研究・比較文明論で有名な木村尚三郎先生が亡くなった。
(以下、敬称略)
大学の教養科目で西洋史を習った。
大教室だから別に交流はなかったのだけれど、なんとなく魅力のある人だった。なんの研究をしているのかときいたら、「ベッドの歴史だ」という答だったので、へえ、と思っていた。
こっちが大人にならないと偉い人の偉さというのがわからない。
単位を取るだけの理科の学生の教養科目に文科系の偉い先生がたくさんいたというのは、ずっと後になって知ったのだが、19かそこらのころにはそんなことはつゆ知らず。いま思うととても贅沢な教養科目がたくさんあった。
放送大学を見ると懐かしい顔がたくさんいたりして、ちょっとうれしくなったり。
無駄に上質のものを消費する、実用の部分よりも可能性が圧倒的に大きい、それを贅沢というとすれば、ほんとうに贅沢な学生生活だった。
知らぬうちにこういう贅沢ができたことが東大のほんとうの素晴らしさだった。いまになってそう思う。
そういえば、芳賀徹には予備校で英語、大学でフランス語を習った。
フランス語は蓮実重彦にも習った。
僕がフランス語ができないのは先生のせいではない。(笑)
こういう贅沢を同窓の友人曰く「体操の塚原にラジオ体操を習うようなものだ」と。
言い得て妙。
彼は英語を小田島雄志に習っている。
そういや、夢の遊眠社の前身の「東大劇研」の顧問は渡辺守章だった。