これが自動操舵装置だ!

 いよいよヨットの自動操舵装置の実証試験。
 イギリスの Raymarine というメーカーの ST2000plus という機種のオートパイロット。
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 写真のうしろに水泡が見えるように、6.5ノットで航行中。
 グレーの本体から出ているロッドが伸び縮みして、舵を動かします。
 チーク材でできた舵棒(ティラーといいます)の下に金具をつけ、そこに ST2000 のロッドを取りつけている。金具は折り曲げと溶接を外注。
 デッキ面が平らではなく途中から写真で見て左下がりになっているので、左側の本体側の取りつけ部分は、高さを合わせつつ、この角度を上面で水平になるように木材(薄い木材を重ねて樹脂で固めてある集積材:めちゃめちゃ硬い!)で部材を作成。
 ヨットはこうしたDYIで成り立つところが多いので、自動車をチューンナップしたり、家をホームインプルーブメントしたり、というのと同じ楽しみがある。
 男の子が好きそうな遊びでしょ。
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 この写真では、コンパス角度322度(ほぼ北西)に船の向きを保つように自動的に舵を動かすように設定してあるところ。
 波があったりすると、その都度、細かく船の向きが変わるのだが、この装置は周期的な変動については自動学習して、ごく短期的な変動を無視するようになる。
 それによって放っておいても元に戻るような変動に対して修正過剰になることを防ぎ、電力消費を抑えながらできるだけまっすぐに走るように動作する。
 めちゃめちゃカシコイ。
 どうやら人間よりも舵取りはうまいみたい。
 本日の実験。
 現在位置から海上のブイの方角(Bearing といいます)をGPSで得て、その数値と船の進行方向(COG: Course Over Ground といいます)が一致するように向かうべきコンパス角度(船首方向 Heading といいます)を合わせると、約3キロ手前からスタートしてもきちんとブイにぶつかった。(もちろん直前で避けるのだけど)
 横からの潮の流れや風の影響がなければ、船首角度をブイの方向に合わせるだけでいいのだが、陸と違って海には潮の流れがあるので、船の進行方向は船首の向きと一致しない。
 ヨットは速度が遅いので、潮の流れの影響が大きい。つねに潮を計算して航行する必要がある。
 たとえば目的地が90度の方向にあるとき、「船」を90度に向けるのではなく、「船の進む方向」を90度にしなければ目標に辿り着かない。横からの潮で流されていると、たとえば、船を95度に向けたときに進む方向が90度になるとしたら、90度の方角にある目標に最短距離で目標につくために船を95度に向けて走らせなくてはならないわけだ。
 人間が舵をもっていても、同じように走らせるのだけれど、目標物が見えている場合、無意識に船首を目標物に向けてしまうので、横流れの効果を計算しながら目標を正面に置かないで走らせるには、かなりの精神修養が必要。
 この場合、前を見てはいけなくて、舵を取る人はコンパスだけを見る。周囲の見張りは舵を持つ人とは別の人がやる。
 機械には余計なものを見てしまう目がないので、ちゃんと計算通りに走るわけです。

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