映画「すべては海になる」 その2

 新宿バルト9で劇場公開中の「すべては海になる」(山田あかね監督)を見た。
 エキストラで出演している阿川大樹は、試写につづいて二度目だけれど、なんど見てもいい映画だと思う。
 改めて、本への思いとか、小説を書く人の思いとか、そんなことを考える。
 小説を書くようになって、本を読む時間が少なくなっている自分にちょっと危機感を持ったり。
 元演劇人だったこともあるし、小説家なので、一方で、習慣的に作る側の視点が入る。2回見て初めて気づく多数のこと。
 小道具に込められた小さなこだわりとか。
 あ、主人公千野夏樹の部屋の壁の絵は原作の表紙の絵だ! とか。
 三崎口の駅は朝早く到着の設定だけど、影が短いから撮影は真っ昼間だ、とか。
 劇中の時間変化より、影の長さの変化が大きくて、撮影にこれこれの時間がかかったらしい、とか。
 冬の服装をしているけど、それにしては影が短かい、とか。
 書店のシーンは夜中の撮影だったけど、どう見ても昼間に見えて照明さんすごい、とか。
 バスは八王子だ。書店は横浜で、タリーズコーヒーも横浜ランドマークタワーの3Fだとか。
 もしかしたら大高家の中と外は別の場所だろうか、とか。
 カット割りと場面転換がうまいなあ、とか。
 ドアの音が、次のカットを先取りしているぞ、とか。
 けっして、あら探しとか、裏を暴くとか、そういうのではなく、そうやって観るときに、作っている人たちの思いや技を感じるのがけっこう好き。