KINGJIM pomera がやって来た

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 pomera(ポメラ)がやって来た。
 一部では絶賛されている、テキストエディター専用マシンだ。
 小さな液晶画面に、開くと小型のノートパソコンと同じ大きさになる折り畳み式キーボードがついている。
 インターネット機能もない。メールもウエブブラウジングもできないし、もちろん音楽も写真も動画も扱えない。ただただ文字を書くだけしかできないが、文字を書くのに必要十分な機能があり、文章を書くことについては妥協していない。
 売り出したのは文房具メーカーのキングジム。
 会社の会議などでメモを取るための軽便な道具として企画したらしい。
 ところが、これが仕事上で文章を書くことの多い人たちが待ち望んでいる道具だったのだ。
 ノートパソコンは1kgかそれ以上、pomeraは370g。ノートパソコンのバッテリーは数時間しかもたないが、pomeraは単4アルカリ電池で20時間。充電器など持ち歩かなくても、電池切れになったらコンビニで調達できる。
 僕もその一人だが、パソコンを使っているほとんどの時間文章を書いているような人々にとって、じつはノートパソコンにもっていた不満がきちんと解消されているのだ。
 というわけで、発売前から様々な媒体で取り上げられ、発売と同時に絶賛を受け、初期ロットはあっというまに売り切れて日本中の店頭から消えてしまっていた。
 メーカーの予想を遙かに越える売れ方であり、ユーザー層も想定していた一般のビジネスマンというより、ヘビーユーザーに受け入れられるものになっていた。
 いま、この文章もpomeraで書いている。入力にほとんどストレスがない。
 外出時には1kgのノートパソコンを常に持ち歩いていたけれど、これだけですめば、ずいぶんと楽になる。
 電源もスイッチを押して2秒で立ち上がるので、パソコンのような待ち時間もない。
 バックライトのないモノクロ液晶もとてもコントラストが高くて見やすい。実にすばらしいマシンだ。
 ヘビーユーザーが高機能な道具を求めているというのは、最初から誤解だ。
 板前は十徳ナイフは使わない。万能包丁も使わない。
 出刃包丁、菜切り包丁、蛸引き、と、それぞれの用途に特化した専用の道具を使う。
 余計なことはできなくてよいから、やりたいことが妥協せずにしっかりできる必要がある。
 どこでも時間を惜しんでできるだけ長い時間文字を書きたいのに、要りもしないカラー表示ができるかわりにバックライトが電気を食って電池が保たない道具は、かえって困るのだ。
 外へ持ち出すから小さくといっても、十分な速度で自然に文字が書けない窮屈なキーボードでは困る。
 文字を書くことに特化した基本性能を持った上で、その先に付加機能がなければならないのだが、実際は、あれもこれもできるようにすることで、ノートパソコンも中途半端な道具になっていたのだ。
 様々なことができる多彩な機能を持つパソコンという道具が成熟して、おのおのの機能をよりブラッシュアップした単機能の道具が出てくるのは、ある意味で当然のことだろうと思う。

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