Diary

ダイアン・シュア

 13日の金曜日。
 青山「ブルーノート東京」で、ダイアン・シュアのライブ。
 彼女の歌を初めて聴いたのは、20年くらい前、コンコード・ジャスフェスティバル(カリフォルニア)だった。
 そのころから、ずっと安定したパフォーマンスを保っている。
 当時に比べると、ピアノはずっと進歩してきていて、とっくに弾き語りのレベルを超えて、ジャズピアニストであるといっていい。今日も、ベース、ドラム、ギターに彼女自身のピアノを加えたカルテットで、いい感じだった。
 彼女は全盲なのだけど、だれも彼女のことを「盲目の歌手」などとはいわない。だって、目が見えるとか見えないとかは関係ないから。スティービー・ワンダーもそうだけど。
 上質の時間が過ごせてシアワセ。
 実力はすごいのに、ダイアン・シュアは日本ではそれほど有名ではない。
 そのせいか、音楽を名前ではなく「自分自身の耳で聴く人」たちが集まっている感じ。女性一人で来ている人もけっこういて、なんか自立したカッコイイ女性が多かった。
 途中の手拍子でも聴衆のレベルがわかる。アフタービートに完璧にみんな揃っていて歯切れがいい。しかも、ドラムがディレイをいれてもシンコペーションしても、手拍子はぴったり安定して刻んでいて、ぶれることがない。音楽をわかっている人だってことだ。
 それにしても、表参道の駅からブルーノートまで、10分ほど歩くのが辛かった。途中のドトールでひとやすみ。帰りは渋谷までタクシー。

「本の雑誌」 2007上半期ベスト1

「本の雑誌」8月号の特集「2007上半期ベスト1」において、阿川大樹の『D列車でいこう』が エンターテインメント・ベスト10 にランキングされました。

本日届いた本

 夜の来訪者 プリーストリー・作 安藤貞雄・訳 岩波文庫 560円
 変わる商店街 中沢孝夫・著 岩波新書 700円
 地域再生の経済学 神野直彦・著 中公新書 680円
 まちづくりの実践 田村明・著 岩波新書 700円
 日本「地下経済」白書 門倉貴史・著 祥伝社黄金文庫 571円
「夜のオンナ」はいくら稼ぐか? 門倉貴史・著 角川oneテーマ文庫 686円
  以上、値段は本体価格。

鮎川哲也賞の山口芳宏さんと

 横浜駅近くで、某社編集と書き下ろしの打合せ。
 のち、みなとみらいで、最近、鮎川哲也賞(推理小説の賞のひとつ)を受賞した山口芳宏さんと飲む。
 山口さんは10年以上前からの小説仲間。
 彼の新作アイデアの検証にちょっと情報提供。
 その他、小説の書き方や構造について、小説家の業界話、経済のプランニング、などいろいろと同業でないと話ができないことをたくさん話しているうちに、午後11時半。5時間以上話し込んでいた。

推理作家協会賞贈呈式

 夕方から新橋へ。
 第一ホテルで推理作家協会賞贈呈式+パーティ。
 その前に、「本の雑誌」を買おうと思ったら新橋の書店2店とも売り切れ。パーティ参加者が買ってしまったのかも。(笑)
 脚の痛みがかなりひどくて、パーティ会場でスピーチを聴きながらウィスキーの水割りで痛み止めを追加ドーピング(スピーチ長くて贈呈式55分もあった)
 乾杯が終わって少ししたところで徳間のT編集長といっしょに、まず、『D列車でいこう』を読んで「面白かった」といってくれているという書評家のNさんのところに挨拶にいったら、なんだソフトボールをいっしょにやっていて、お互いに顔と名前が一致していなかったと判明。で、ふと横を見れば、なんと、となりに週刊ブックレビューで「おすすめの1冊」に取り上げてくれた吉田伸子さん。
 つぎにはおなじくブックレビューで誉めてくれた逢坂剛さんに挨拶。
「おお、会ったことありましたよねえ」
「ソフトボールご一緒してますから」
 て、やっぱり、顔は知っていても僕が阿川大樹だとは知らないわけだ。(笑)
 新発見は10年くらい前、某女性作家のパーティで名刺交換していた女性編集者が僕の担当編集長の上司だったことが判明。きゃ、知らずに新刊の案内なんかメールしていた。はずかしぃ。(昔の名刺だったので、所属が同じに見えなかった)
 1998年から知っているA出版のBさんが、向こうからやってきて、立ち話。
 最初にBさんに会ったのはサントリーミステリー大賞の候補になっているときに朝日カルチャーセンターで「ミステリーの書き方」みたいな講座を彼がやっていたので参加したのだった。(別にミステリーの書き方を勉強したかったからではなくA出版の編集者にコネを作るために参加したわけで、講師が作家だったら参加しなかった)
 で、その講座で、彼は「僕だったら2作目くらいまで様子を見ますかね」と新人作家とのつきあいかたについて語っていたのをよく覚えている。
 その後、様々な文芸系のパーティでBさんを見かけるたびに、ひとことふたこと会話をしたり年賀状を送ったり、忘れられないようにしつつ、都合10回やそこらは会っている。もちろん著作も全部送っている。
 で、昨晩、ついに彼の方から僕の処にやってきて、「こんど飯でも喰いましょうよ。いつでもいいですから」と耳打ちして去っていった。ほらね、ちゃんと9年前にいったように2作目までようすを見ていたわけだ。
 それとは別に、ブックレビュー放送を知って放映に先だってアクセスしてきたC社のD編集者とも立ち話で、近々、会って話をすることになった。
 そんなこんなで、営業的なことがほぼ片が付いたのが午後8時少し前。
 そこで、久しぶりにパーティでいっしょになった先輩作家のすがやみつるさん(現在早稲田大学の社会人学生で学業が忙しそうなので飲みの誘いを遠慮していた)と、新宿ゴールデン街へ移動。
 バー3軒と途中ラーメン屋1軒。
 久々に、始発まで飲んで、心すっきり。

週刊ブックレビュー

 24日朝の放送は出かけていて見ることができなかったので、帰宅後、深夜の再放送で見た。
 著者近影(笑)と経歴がしばらく映し出されたのは、とってもこそばゆいぞ。
 内容は、司会・藤沢周(作家)、中江有里(女優・脚本家)の2人と伊佐山ひろ子 (女優)、逢坂剛 (作家)、吉田伸子 (書評家)の5人が『D列車でいこう』をよってたかって批評、というか誉めてくれる番組になっておりました。
 ちょっとネタバレもあったけど。(特に逢坂剛さん)
 逢坂剛さんが、小さな不満を口にしたとき、拙著を「おすすめの1冊」に選んでくれた吉田伸子さんが、「そこがいいんじゃないですか」といって反論してくれて、その瞬間に中江有里さんがうんうんとうなずく瞬間をカメラがしっかり切り取っていて、それが番組としてのハイライトシーンかな。
「吉田さんは、面白い本を見つけてくる天才ですね」という逢坂剛さんの開口一番がなかなかいいキャッチコピーになってました。
 朝の放送から不在の間、複数の人が amazon の売上順位をウォッチしてくれていて、それをまとめてエクセルの表に入力して、「週刊ブックレビューによる amazon の反応」という資料ができたので、編集者にメールで送っておく。
 僕はベースが理科系なので、こういうデータを見るのが大好き。
 最高位は25日午前0時20分ごろに記録した63位のようです。
「レイモンド・チャンドラー+村上春樹」という超強力コンビと抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていたようすが、数字としてすごく面白かった。
 いや、チャンドラーといえば、ハードボイルドの金字塔のような作家だし、村上春樹といえば「村上チルドレン」と呼ばれる一群の作家まで産み出した日本文学界の寵児だし、一時的にせよ、そういう作家の本と売上順位で並ぶなんてのは、デビュー2作目のかけだし作家としては、すごいことであります。(まあ、時間と共に水を空けられることは目に見えてはいるけどさ)
 NHK「週刊ブックレビュー」のサイトは こちら

歌手 小林淳子

 午後6時半をまわったところで、「なかの芸能劇場」へ。
 友人の中でもっとも芸術家肌であり(笑)、最年長の女友達(再笑)でもある小林淳子さんのコンサート。
 昨年9月に4年のブランクからライブ活動を再開して、9ヶ月を経て同じユニットで二度目のライブ。淳子さんの音楽はジャンルの定義が難しく、ほとんどの歌のタイトルはシャンソンなのだけれど、バックのベースとピアノは完全にジャズなので、フォーマットはジャズと言っていい。高音の囁きと、太く存在感のある低音が特徴。
 シャンソン歌手のほとんどは様式化ファッション化していて歌がひどく下手なので、淳子さんをシャンソン歌手とは紹介したくない感じなのだ。どうしても何かキーワードで記述するとすれば、シャンソンのナンバーを唄うジャズシンガーとでも言うべきか。
 昨年9月の演奏は、ブランクのあとの迷いや硬さがあったけれど、今回は伸び伸びとステージにいて、バックとの緊張感もあって、すごくいい演奏になっている。
 久々に音楽を聴いて涙が出た。
 60歳を超えているはずなのに、ステージの上で、深く切れたスカートのスリットからのぞく脚からさらにその上を想像したいと思わせるる「女」でいるというもスゴイ。
 休憩を挟んで2時間のステージは、きちんと作り込まれた高い音楽性と瞬時の共鳴による即興性の両輪で支えられていて、ほとんどダレることがなかった。

原稿用紙1枚100円

 夕食後、近くの Blenz Coffee へ原稿書きに。
 午後10時で閉店なので、1時間しかない。
 40分で原稿用紙3枚書く。コーヒーが260円なので、執筆コストの変動費1枚あたり約100円か。(笑)
 この調子で400枚の小説を書くと4万円。
 そういう計算が成り立つとたいへんにうれしい。
 家にいると書けないときでもコーヒーショップに来ると必ず書けるので、最初から割り切って通えばいいんだけど。

定点観測「コットンマム」(その3)

 新しいカーナビが届いたのでテストランを兼ねてコットンマムへ。
 あいかわらず野菜は安くていいものがあるけれど、肉や魚は高くて買えないものばかり。前にも書いたけれど、正月やクリスマスには買うかもしれないが、ふつうの人間は100グラム400円の肉なんか食べない。
 近隣のマンションの価格帯と家族構成を考えても、100グラム400円の肉を日常的に買うはずがない。
 地域の掲示板を見ると、お洒落な品揃えを喜んでいる声が書き込まれていたりするけれど、新築マンションを買って入居前から入居直後の精神的昂揚が終わって、リアルライフの実需になれば、この品揃えのスーパーが成り立たないのは火を見るよりも明らかだ。
 あんまり売れないから、広く薄く並べていて、しかも営業時間の終わり近くには補充を躊躇しているから、遅く行くと商品がない。悪循環だ。
 開店当初からこのビジネスモデルではうまくいかないだろうと思っていたけれど、今日辺りには、いよいよかなり経営が苦しいようすが表に見えてきている。
 あちこちの棚に「空き」ができ、虫食い状態。
 空いた棚の分、いままでなかった安くて売れるものを品揃えとして入れていくのならいいけれど、どうやら単純に在庫を圧縮しているだけのようなのだ。在庫の回転の悪い輸入菓子などをたくさん並べているから、ほんとうに生活に必要で誰もが買いたくなるような商品を並べる場所がない。ジェリービーンズなんか並べたって誰も買わないでしょうが。POSデータ見ないで経営しているのかなあ。
 開店してから9ヶ月になろうとしているのに、問題に気づいていないのかもしれない。
 もしかして、客が少ない原因を、みなとみらい地区とを結ぶ横断道路(橋)の建設が予定より遅れているせいだと思っていて、道路ができるまでの辛抱で、橋ができればたくさん客が来るとおもっているとしたら、それは大間違いだと思う。
 いまの品揃えではどこからだって客は呼べない。高級な肉や輸入菓子は、このあたりではどこでも売っているのだ。わざわざコットンマムに買いに来ない。スーパーはまず「地域のイチバン」にならなくてはだめだ。そのためにはまず日常の食品をちゃんと並べておかなくては。オリーブオイルをたくさん並べる前に、近くのコットンハーバーに住んでいる人が東神奈川まで安い食材を買いに行かなくても済むようにしなくては。(せっかく近くに住んでいる人の需要を逃しているなんて)
 以上、経済小説 を書いている主夫、阿川大樹の提言でした。

 このブログのコットンハーバー関連のエントリーは ここ から。

なぜジュンク堂で売れるのか

 池袋へ。
 というのも『D列車でいこう』の販売POSデータで池袋ジュンク堂が目立って売れ行きがいい。(て、たいしたこたあないんだが)
 池袋はなぜか他の書店も割といい。こういう風に数字に何かが出ると、がぜん理科系心が刺激されて、その原因を調べたくなるのだ。今後の販売拡張のヒントがそこにあるかもしれないし。
 というわけで、夕方、家を出て池袋へ。
 さっそくジュンク堂へ行くと、まず、1階レジ前の新刊の棚に3冊並べて入っている。つぎに3階文芸書の新刊コーナーに面出しで、そしてミステリーの著者50音順の棚に2冊並べて、と、3箇所で売られている。単純に売り場面積の問題なのか。
 ジュンク堂という書店、レジはレジで大きな病院の会計カウンターみたいにずらりと並んだところにひっきりなしに客が来ている。なんでもそろう品揃えが魅力なのだけど、しかし、ジュンク堂の店員さんは、よく動いて売り場を見ている。大きいだけでなく、本を売ることに対する情熱のちがいを感じる。
 池袋駅に戻る途中、吉野家で牛丼を食べて新宿へ。
 紀伊國屋本店では、経済小説の棚に平積。
 でも、ここの経済小説の棚は棚自体ブラインドになっていて場所が悪いんだよなあ。本当は「エンターテインメント」に置いてもらう方が売れると思うんだけど。
 ジュンク堂も紀伊國屋も、夕方の混雑時間帯だったので、店員さんに挨拶するのは遠慮しておく。書店員は売るのが仕事だからその本番中に著者がじゃまするのはマズイと思うのだ。
 あとは、ゴールデン街のなじみの店に2軒ほど立ち寄って飲んだり喋ったり。
 ただいまのところ、ゴールデン街に1軒だけ『D列車でいこう』のポスターが貼ってある店があります。さあ、どなたか探してみませんか?(笑)
 終電少し前に帰宅。