解散すれば民主党が惨敗?

 民主党はさかんに早く解散しろというスタンスでいる。どうやら総選挙になれば自分たちの議席が増えると思っているらしい。
 それはほんとうだろうか。
 僕は、今の状況は「郵政民営化選挙」のときの小泉圧勝の状況にとても似ていると感じている。
 郵政民営化選挙は、メディアや自民党を含む多くの政治家たちの予想を裏切って小泉圧勝だった。「いま解散して総選挙なんかしたら自民党は負けるから解散なんかするわけがない」と郵政民営化反対の自民党抵抗勢力もメディアも野党も思っていたのだ。
 しかし、メディアの予想通りでなかっただけで、国民はそうは思っていなかったのだ。当時の焼鳥屋政治談義をいろいろなところで聞いていた僕は、もし解散すれば小泉自民党は相当いいところに行くと感じていた。飲み屋の話だけでなくネット世論もそういう感じだった。
 結局、森喜朗前総理が干涸らびたチーズの名演技をして「本当に解散するつもりだよ」と人々に暗示したにも拘わらず、それを理解できない人たちがいっぱいいた。
 それらの人々にはびっくりする結果だったが、一方、焼鳥屋で飲んでいれば「やっぱりね」と思う小泉圧勝という結果だ。
 立花隆もネット上のコラムで「選挙をして勝てるはずがないから解散なんてあり得ない」と書いていたが、事実は、その逆だったのだ。
 小泉純一郎にとって、郵政民営化解散は一か八かの博打ではなく、綿密な独自の世論調査で、「選挙をすれば圧勝できる」と確信を持っていて、それに従って計画通り解散したのだと、後に明らかになっている。
 旧来の政治家たちの思っている民意、昔ながらの永田町の空気の中でマスメディアが思っている民意と、実際の民意はすでにこの頃から明確に乖離している。
 最近も象徴的なことが起きた。
「ホテルのバーは安い」と麻生首相の「連夜の豪遊」を報道した新聞各社テレビ各社だったが、民意は自分たちが思ったように「麻生首相は庶民感覚をもっていないだめなお坊ちゃん政治家だ」という反応はしなかった。
 まったく逆で、首相が行く場所としてホテルのバーは高い場所ではなくむしろ適切で、そういうことを取り沙汰するメディアの方の見識の無さを嘆く人たちの方が多かったのだ。
 当然、このメディア批判はメディアの尻馬に乗った野党批判にも向かう。
 麻生首相は就任後一ヶ月で、取り立てて大きな失敗が無く、国際会議など海外へ出ての活動も大袈裟にしないまま身軽にこなしている感じで、これは人々のもつ「仕事のできる人のイメージ」に合っている。
 そこへきて、アメリカ発の全世界的な株価暴落、円高、不景気の到来である。日々、仕事をしている人はその影響を感じ、また、どうなるのだろうかと不安を抱いている。
「解散よりも金融経済対策」は正論であり、国民はメディアの論調や旧式な野党のプロパガンダよりも正論を支持する素地をちゃんともっているから、このことも麻生自民党有利になっている。
 26年ぶりの水準まで株価まで暴落しているときに、「党首討論をしよう」という正論に対して、「解散時期をはっきりさせなければ討論をしない」とか、危機管理の提案することもなしに口を開けば解散解散とだけ唱える民主党がポイントを稼ぐ場所はいまのところ全くない。
 麻生内閣になってから、与党がポイントを稼ぐ機会はあっても、野党が自分のアクションで稼いできたポイントはまったくない。
 あらかじめ特定の政党を支持すると先に決めている人たちをのぞけば、国民の目には、解散解散と叫び政局あって政策なしに見える野党は、ポジティブには映らない。選挙をすることで世の中がよくなるというビジョンが提示されていないのだから当たり前だ。
 ネット世論や、焼鳥政治談義も、麻生批判よりも野党批判の方が強い。
 例えば、ブログを検索して100人分ほど読んでみれば、人々がいかにメディアの報道とちがう目をもっているかがわかるだろう。あとはブロガーが一般化できるのか特殊な階層であるかという評価による。
「ホテルのバー」事件でわかるように、新聞はほんとうの庶民の声を実地取材によって捉えているのではなく、自分たちが頭の中で思い描いた庶民像をもとに、庶民はこうだと書いているだけなのだけれど、野党は報道されている庶民像をみて、それが国民の声だとかんちがいしているのではないか。
 だとすると、同時に起きているメディアの陳腐化と野党の陳腐化は深刻だ。

解散すれば民主党が惨敗?” への1件のコメント

  1. バブル後最安値更新で延命許すな 決定打なければ解散しろ

    オツカレです。
    やはり市場が開く前に何もアクションが無かったため底割れとなった。
    [東京 27日 ロイター]日経平均が終値でバブル後安値更新、82…

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