Diary

明けましておめでとうございます

 昨年は、デビュー第二作『D列車でいこう』が出ました。
 無名の作家のこと故、まだまだ読者数はあまり多くありませんが、おかげさまで作品の評判は上々で、メディアにもたびたび取り上げられました。
 多くの出版社から書き下ろしのお話しをいただき、戸惑うほどですが、今年は、それをひとつひとつ形にしていく年になると思います。
 思えば、96年に職業作家を志して会社員を辞し、2005年にデビューするまで、公募新人賞に応募しつつ、原稿をもって出版社の門を叩く、「訪問販売の作家志望者」を続け、「注文をもらえる作家」への遠い道をゆっくりと歩んできました。
 2006年、徳間書店より第二作のお話しをいただき『D列車でいこう』という形に結実したのが2007年5月。
 以来、おかげさまで、それをきっかけに、すべてにすぐに応じきれないまでの執筆依頼をいただくところまで来ました。新たなステージへのジャンプ台に立つところにいることを実感します。
 しかしながら、すべては「画に描いた餅」ならぬ「まだ書いていない小説への注文」にすぎず、それを一文字ずつ紡いで作品として送り出していく、作家本来の作業の年であります。執筆ペースも、従来の少なくとも4倍を目指す必要があり、新年より、「執筆マシン阿川大樹」を作り上げることが最重要課題です。
 皆様方におかれましては、ひきつづき阿川大樹への叱咤激励ご指導ご鞭撻を賜りたく存じます。
 どうか、本年もよろしくお願いいたします。
 2008年元旦。
 

2007年を振り返る

1月
 正月に予科練だった叔父が亡くなる。
 この月はほとんどずっと『D列車でいこう』の原稿を書いていた。
2月
『D列車でいこう』の改稿。引越の準備。
3月
 6日に引越。捨てるものが多くて、捨てるために体力の限界ぎりぎりで準備や後始末をした感じだ。新居のベッドに眠れるようになったのは31日。
4月
 20年前にNECの退職金(に貯金を足して)で買ったオートバイ Honda GB250 Clubman のレストアが完成。
5月
『D列車でいこう』、徳間書店から発売。
 さっそくTBSラジオ「森本毅郎のスタンバイ」で紹介される。
6月
 徳間書店から第三作の執筆依頼。やった。
 短編「ショウルームの女」に手をつける。
 NHK BS「週刊ブックレビュー」で『D列車でいこう』が紹介され、amazon で瞬間風速売上50位代に躍進。
7月
 いよいよ歩くのが困難になり、けいゆう病院の整形外科の脊椎の専門医を訪ねる。
「本の雑誌」において、『D列車でいこう』2007上半期ベスト10となる。
「ショウルームの女」脱稿。掲載未定。
8月
 某社から長編書き下ろしの打診。
 椎間板ヘルニア手術のため、人生で初めての入院。
9月
 退院。楽しい入院生活だった。
 別の某社から長編書き下ろしの話。
10月
 さらに別の某社から長編書き下ろしの話。
11月
 3作目のプロットにOKがでて、本格的に執筆開始。
 さらに別の出版社から長編書き下ろしの打診。
『D列車でいこう』の映画化の話、動きはじめる。
「ショウルームの女」の掲載が決定。「問題小説」2月号。
12月
「問題小説」巻頭カラーグラビア撮影。
 またまた別の出版社から長編書き下ろしの打診。
 たくさんいただいた仕事の分量に呆然としながら、必死で執筆マシンに変身を遂げる努力の年の瀬を送る。
 
 というわけで、来年は、ブレークします。
(その前にやらなくてはならないことはたくさんあるんだけど)

長編進捗状況

 三作目の書き下ろし長編は現在250枚まで。
 あと、150-200枚なので、道半ば、かな。
 今回はなんとか450枚くらいには収めたいのだけど、短い小説はそれだけ書くのがむずかしいので、どうしても長くなってしまう。
 多分、技術が未熟なのか、才能が不十分なんでしょうね。
 非日常的な出来事について、説明しなくても(理屈はわからなくても)読者が納得するのがいい小説、物語の中にそれなりに根拠を示すことで納得させるのはあくまで次善の策。
 現実の世界では起こりえないようなことを小説のなかだけで引き起こして読者に楽しんでもらえるのが理想だけれど、どうしても、「現実の世界にもありそう」に書いてしまう。その方が間違いがないから。リアリティがないと言われるのが恐いから。
 でも、小説っていうのはもともとフィクションなんだから、大法螺を吹いて、読者がそれを楽しんでくれるのがいちばん。
 あと20日くらいで初稿をあげる予定。時間がないなあ。もう少し集中力が欲しい。

ひるぜん 山葡萄 赤ワイン

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 夕食は、またまた幸福なことに、またしてもこんどは山形の知人からいただいた山形牛のステーキ。
 適度な霜降りで、ペロリと食べてしまいましたよ。
 せっかくの機会なので、ひるぜんワイン、イチオシの「山葡萄ワイン」を開けました。
 これは、予想以上によくできてたワイン。国産ワインには珍しいフルボディの赤ワインでありながら、透明感のある出来映え。ふつうに美味しいと思います。
 ただ、3885円という値段が微妙。
 値段に見合った味だとは思うけれど、これだけだせば、マコンやメドックはもちろん、リーズナブルなサンテミリオンも選択肢にはいるので、激戦区。
 少なくとも、僕は、ふだんの食事にこの値段のワインは開けられないし、何かの時に開けるとして、ものすごくたくさんのオプションがあるからなあ。
 ワインを飲む習慣がふだんからあって、「いろいろなワインを飲んでみたけれど、国産でこんなのがあるのか」、とちょっと探検して知識を広めたいワイン通の人にはおすすめできます。
(写真はメーカーサイトから)

IKEA

 朝起きるとまずやることは、wii fit と決まっている。
 初めて4日目で、順調に筋肉痛。
 妻が冬休みに入ったので、彼女なりにずっとやりたかったホームインプルーブメントのために、IKEAに行きたいと言い出した。
 恐妻組合のメンバーとしては、家のことに関する限り、協力しないわけにはいかない。
 なにしろ、彼女は何千万円も出して家を買ったわけで、それをできるだけ快適にしたいという熱意は、ただの同居人の僕とは比較にならないわけだ。
 というわけで、昼から、車で港北のIKEAに行く。
 本日のテーマの「TVボード」はデザインが気に入れば強度が足りない、強度を満たすものは、使い勝手が思い通りではない、という具合でIKEAでの購入は断念。
 昼食(美味しいパスタ平日なら295円!)をはさんで、結局、気に入ったダイニングの照明を見つけて買うことができ、それなりの成果があったというわけ。
 ついでに、車でしか行けないスーパーに立ち寄って帰宅したのは午後4時。
(面倒なので、早々に最低限のお正月の買い物もしてしまった)

下北沢で、おばんざい

 昼は仕事。
 夜に、下北沢で会食の予定なので、電車が混む前にさっさと下北沢へ移動。
 久しぶりのシモキタは、かなり再開発が進み始めている。
 雑然混沌無秩序がこの町の良さであり、エネルギーであったのに。
 無秩序が、いつか出て行くぞ、という役者たちやミュージシャンたちを吸収して、育てていたのに。
「消防自動車が入れない」という反対しにくい大義名分。
 消防自動車が入れないのは、何十年も前からのことであるのに、なんでいまさら。
 ピアニストのフジ子・ヘミングも先頭に立って反対運動をしているらしい。
 駅のそばのドトールも工事中になっていたので、向かいのマクドナルドでコーヒーMサイズを飲みながら、仕事。
 近くで、トンガッた若者を見て、シモキタならではの良さを感じる。
(黒い爪、黒のアイシャドウに赤のアクセント、という椎名林檎系の美しい女子)
 午後7時まえ、翻訳家のMさんと落ち合って、京料理のお店へ。
 シモキタとは思えぬ落ち着いたお店。
 料理も美味しいし、お酒も美味しい。

クリスマス

 昼間は、ふつうに仕事。
 午後8時過ぎから、野毛の萬里放題亭で夕食。
 ザーサイ、蒸し鶏、餃子、豆腐の炒め、白菜のクリーム煮、蟹玉。
 もちろん、紹興酒。 
 やっぱり、クリスマスは中華に限る。

wii + wii fit 任天堂の偉業

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 クリスマス・イブ。
 昨日、ヨドバシで注文した wii + wii fit が本日午前9時過ぎに届いた。
 注文から20時間しか経ってない。すごいな最先端の流通。
 午後3時くらいから夫婦で3時間ほど遊んじゃった。
 軽く汗ばむので、夕食の時まで暖房がいらなかった。
 体動かさないと頭も働かない、というときがある。
 特にバランスを取るという意外に体幹をしっかりつかう運動ばかりなので、僕のような暮らしには、かなりいいかもしれません。
 最初、慣れないこともあってバランス年齢が「+13歳」で「げっ」と思ったけど、1時間ほど遊んでからもういちど測ったら「-14歳」と、一気に27歳若返った。ほんとかよ。(やる気を出させるためのおべんちゃらだろ)
 どうやら、静止時のバランスはほとんど完璧。意図的にずらしていくのは、けっこう苦手、片足立ちは軸足の左はいいけど、右だと不安定。
 重心の位置を中間位置で自分の思ったように思った精度で動かすのはなかなかむずかしいのだ。
 すでに自分のアバターに愛着を感じ始めています。(笑)
 しかし、デザインも大人向けにできていて、wii は、すごくいい商品だ。
 ソニーの Play Station に於ける戦略の間違いが、ほんとに力任せでダサイものだったということがわかってしまう。任天堂はまったく新しいホームエンターテインメントをいいかたちで産み出した。
 これは、かつてのウォークマンに匹敵する画期的な「発明」だと思う。
 鉄腕アトムの頃に描いた、21世紀の姿は、Play Station 3 よりも wii が体現していると思う。「生活のなかの先端技術のありかた」という視点。
 深夜から明け方にかけて、年賀状200枚の印刷。
 他に妻が150枚出すので、我が家の年賀状は合計350枚。
 妻と僕とは別人格なので、一人の方にそれぞれから年賀状が別に届くこともあります。(て、当たり前のことだと思うけど、意外にそういう受け取り方をした経験はないなあ)
 我が家はクリスチャンでも商売人でもないので、クリスマスイブのイベントは特になし。
 よく、「クリスチャンじゃないのに騒ぎすぎ」という人がいるけど、そもそもクリスチャンはクリスマスに騒がない。一方、宗教にかかわらず商売人ならあらゆる機会をうまく利用するのは当然だと思う。消費者としての自分はそれに乗るつもりはないけど、クリスマスは(宗教行事ではなくとも商売の機会として)騒ぐべきだ。
 イスラムのイベントもヒンズーのイベントも、どんどん掘り起こしてやったらいいんじゃないかな。

[WINE]ひるぜん 岡山ピオーネ

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 夕食は久々に夫婦揃って家で。
 ブリを解体してからほとんど外食だったので、本格的に食べるのは今日が初めてだ。
 ブリの照り焼き、ブリの刺身、わかめの味噌汁、大根のマヨネーズサラダ、アボカドの刺身。刺身は絶品、照り焼きもよし。
 岡山の「ひるぜんワイン」というワイナリーのちょっとユニークなワインを飲んでみた。
 巨峰とマスカットを交配したピオーネ種のワイン。色はクリアなところに暗い赤が加わっている。香りは「きれい」で好感が持てる。
 味は、それほど甘くないさわやかなマスカット系なのだけれど、残念ながらロゼにして渋みを加えているので、香りと味と舌触りの距離が離れてしまっている。丁寧に作っていることがうかがえるきれいな味なだけに、少し残念な気がする。もしかしたら目標とする味、「こういう味のワインを飲ませたい!」という狙いがきちんと定まっていないんじゃないかなあ。
 お嬢様のような味で、粗野じゃなくて、上品ではある。
 1000円程度のチリのワインで、粗野で欠点もあるけど可能性とバランスのあるような、ワインとしての誇りのようなものは、しっかり感じられることは少なくないから、それに比較してみると、育ちがよくて欠点を消してしまったことで、ワインとしては後退させてしまっている部分があるような気がする。
 この価格帯ではどうせ高望みはしない。やんちゃ坊主で個性を発揮してもだれも怒らないだろうし、逆に、もっとまっすぐに、ロゼにしないで、白をつくればもっと自然な味になったんじゃないだろうか。
 売るためには「特徴を出さなければ」という面はあり、かといってワインというのは、一定の期待の中にセレクションするものなので、無理をするとバランスを欠く。特に食事と一緒に飲む場合はむずかしい。
 個性を出したかったのか巨峰のイメージを表現したかったのか、ピオーネじゃなくて、マスカットでつくって、カベルネソービニオンの渋みだけあとから加えたみたいなワインになってしまっているように思う。
 とはいえ、他にないものをもっているし、2310円なりに上品なので、見つけたら買ってみる価値はある。食事と一緒というより、食後やナイトキャップに、ワイン単独の味を楽しむ飲み方がいいかもしれない。
(写真はメーカーサイトから)

執筆快調

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 本日も、妻が外食なので、こちらも執筆優先で夕食は大戸屋で「おひとりさま」。
 とにかく、食事を作るのをやめると、確実に執筆の調子が上がる。
 仕事は山ほどきているので、費用を節約するよりも生産性を上げて、たくさん書いて稼ぎの方を大きくする側に、方針転換だ。
 そんなこともあって、執筆の調子は上がってきている。
 現在180枚。
 直しが必要だが、まがりなりにも書けているところが他に100枚くらい。
 新規に書き加えていくところは、他にあと、150-200枚くらいかな。
 そんな中で、残りの部分には、つながってない隙間がたくさん残っていて、これは自分への「誘いの隙」みたいなもので、このスキマを利用して、物語ががしっと組上がったり、現時点では作者も予想もしないすごい展開になっていったりする。この先10日くらいが、書いていても面白いところ。
 正月もこのままずっと仕事していたいけど、まあ、年に一度のことなので、親と食事くらいはする予定。
 そうだ、年賀状、どうしようか。
(写真はコザで僕がイルミネーションを取りつけた開店準備中の案内所店舗)