日: 2023年5月14日

巨大資本とアメリカの陰謀について

 種苗法がモンサント、ひいてはアメリカの陰謀でこの法律によって日本の農業がアメリカに支配される、ということが一時一部の人によって言われていた。
 単純にデマで、いまではもうそれを言う人もいないと思っていたら、また生き残っていたので、少し驚いた。

 結果として、種苗法で保護の対象になる登録品種にモンサントの開発品種は一つもない。
 だいたいモンサントが高いシェアを持っていた飼料用のトウモロコシなどはF1品種なので、交配して種を作れないから、「種苗法が改正されると農家が自家交配できない」というステートメントそのものに意味がない。
 さらに、モンサントはドイツのバイエルに買収されて、もはやアメリカの会社ですらない。アメリカの陰謀にドイツが加担しているとでもいうのだろうか。
 種苗法に反対していた人はほぼ例外なくTPPにも反対していて、TPPもアメリカの陰謀だと言っていたのだけど、その(アメリカに有利なはずの)TPPから真っ先に撤退したのは他ならぬアメリカだった。
 環太平洋だけでなくさらに幅広い国が加盟してきいている現在、アメリカもあとになってTPPに参加した。
アメリカのような大国、多国籍の大企業ははいろいろな戦略をもって行動する。しかし、なんでも「アメリカの陰謀」で世界がうごいているわけではない。あたりまえだ。
 個別に検証することなく「アメリカの陰謀」といわれればなんでも事実だと思ってしまう人は、煽動に乗りやす過ぎて、別の陰謀にも引っかかって欺されやすいみたいだ。アメリカの陰謀万能説。(笑)
「アメリカの巨大資本の陰謀」はしばしばサスペンス小説の題材になる。
 拙著『覇権の標的(ターゲット)』は、日本の大企業を辞めてアメリカでベンチャー半導体企業を起こした日本人エンジニアが、アメリカのユダヤ系巨大資本の陰謀と戦う物語になっている。(笑)