足かけ3年の「インバウンド」

 ”STORY BOX” で連載している「インバウンド」は、もう10回以上、編集者とやりとりをして直している。
 最初に編集者と一緒に沖縄に取材に行ったのは2009年の4月の終わりだった。もう足かけ3年だ。
 今回もいろいろと意見交換の末、細かな修正。
 編集者の執念もたいしたものだが、こちらも意見を譲ったり譲らなかったり、お互いに真剣に向き合って、妥協をしないでいいものを作ろうとしている。
 もともと単行本で刊行する予定で始めたものだが、プロジェクトが長期になったこともあって、連載という形で世の中に出して、改めて単行本にまとめるという形に落ち着いた。
 小説家がどんなに精魂を傾けて書いていても、本にならないとまったく無収入なので、長い期間にわたって何度も書き直していても、それだけでは一銭も僕の懐に入ってこない。
 連載になれば、掲載の都度、原稿料が入ってくるし、それが本になった時点で改めて印税が入ってくるので、こちらとしては経済的に大変ありがたく、出版社としては先に一度商品化ができるということにもなる。
 そんなこんなでとても長く関わっている本作もそろそろ最終フェーズ。
 プリントアウトして第4章以降を見直しつつ手を入れているここ数日だ。
 来年の春には単行本の形になる。