東芝経営陣を讃える

 次世代DVDの規格として、HD-DVD と blu-ray が競争を繰り広げていました。
 まだユーザーへの導入が始まったばかりですが、昨年末までで blu-ray が圧倒的なシェアを確保したと聞いていました。しかし、まだ、ほとんど買った人がいない、市場としては黎明期。
 しかし、 HD-DVD を推進している東芝は撤退を決めたようです。
 かねてより、ハードディスク録画、衛星や光ファイバーでニアーオンデマンド、の時代になるので、ブルーレイかHDDVDかは、基本的にどうでもよいこと、という主張をしてきたので、ブルーレイが勝ったということには何の感慨もないのですが、この件でいちばん感動したのは、この時期に早々と撤退を決めたということです。
 一度始めた大プロジェクトを畳む決断がどれだけむずかしいか。
 会社を経営したことのある人でないとなかなか直感的にはわからないだろうと思うのですが、自分の判断で何百億の損失を確定させ、工場の操業を停止させる、という決断はなかなかできるものではありません。
 この時期の東芝のこの決断は日本の経営の歴史に残る大英断だと思います。
 かなりスゴイです。
 決断の背景には、勝ってこの市場の100%とってもその規模はたいしたことはなく、かつてのビテオテープのように各家庭に1台入るようにはならないであろうという予測もあったかもしれません。
 現に、うちも買うつもりは全くない。
 コンテンツを受け取る側では、多チャンネル化した放送とネット配信で十分ですし、家庭での保存もディスクに焼くよりも、ハードディスクにしまっておいたほうが便利だし、足らなければUSB接続などのハードディスクを増設したり差し替えた方が使い勝手がいい。(我が家のはまだそうではないけど、HDDレコーダーもその方向に変わってきています)
 そもそもオンデマンドでいつでも見ることができるのなら、保存する必要すらないんですよね。
 有料コンテンツなら、ライセンス情報だけ保持して、それを参照してそのつどダウンロードなりストリーム再生なりすればいい。保存が必要なのは、自分で製作したコンテンツくらいですが、それこそハードディスクでいい。
 というわけで、もともと不毛なあまり意味のない競争だったと思います。
 勝ってももうからない競争にお金をつぎ込むのは馬鹿げています。
 
 そういう読みを含めて、早期に撤退を決めて損失を最小限に抑えた東芝経営陣の判断の素晴らしさに、敬意を表します。これはもう絶賛すべきです。

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