コザ音楽祭で審査員

 起床午前8時40分。
 晴れている。晴れるとなったらそれはもう強烈な日差しだ。
 まず初めに考えたこと。洗濯できる!
 沖縄の天気は変わりやすい。お天道様のゴキゲンのいいうちに人間はスキをうかがって洗濯をせねばならぬ。というわけで、朝食前に洗濯。
 さすが二時間ほどで乾いてしまった。横浜のマンションはベランダに洗濯物が干せないので、太陽の光で干したものを着るのは久しぶりだ。
 しかし、この変わりやすい天気では会社勤めの人は洗濯物を干せないな。
 朝食は昨日のうちに買っておいた ZAZOO のパン。
 ちょうどオーシャンの隣なのだけれど、なかなかおいしいのだ。
 昼前から原稿書き。
 昼は、昨日食べ損なった弁当を冷蔵庫から出して電子レンジでチン。
 いつものようにオーシャンに出勤して原稿書き。
 午後4時、コザ音楽祭本戦会場のミュージックタウン音市場へ。
 どういうわけか本日の僕はこのバンドコンペティションの審査員なのだ。
 その他の審査員はコンディショングリーンのボーカルとして有名なカッチャン、紫のドラマー宮永英一、ZODIACの照喜名薫ほか、錚々たるメンバー。本土の人間は僕だけである。
 本戦は午後5時半から11のバンドで争われた。
 客席後方に設けられた審査員席で、評価シートに点数をつけながら聴く。
 プロを目指す若いミュージシャンにとっては将来がかかっている。いい加減に点数をつけるわけにはいかない。しかも、唯一の小説家の審査員として、場合によっては特によかった歌詞があれば審査員特別賞を出すということだ。
 バラエティに富んだ出場者たちだったが、これはすごいと驚かせてくれるグループはいない。演奏技術も凡庸。
 ずっと関わってきた審査員たちによれば、今年は全体にレベルが低いのだという。
 小説でもそうだけれど、プロになるということは、世界に満ちあふれているすべてのミュージシャンと競争する場に出るということ。ある年の本選会で一番であるかどうかは、それを考えればほんとに些末なことなのだ。
 グランプリと金賞は僅差だったが、真剣な討議の結果、COCORE(ココア)というバンドがグランプリに決まった。
 僕はベストボーカル賞のプレゼンターとして賞状と副賞をわたす。
 さて、終了後は、「音洞(おとぼら)」という店でリーミーがアコースティックで歌うライブが九時からあるはずなので、駆けつける。ただし、時刻はすでに10時半である。
 初めての店におそるおそる入っていってみると、コザには珍しい天井の高い静かな雰囲気の店で、まさにちょうどリーミーが3人のユニットでしっとりと歌っているところだった。
 チャージは無料なのだけれど、店のシステムがわからないので、適当なところに座って聴いていると、曲の合間のMCの途中でリーミーが僕を見つけて「大樹さん、こっち座ってこっち」と最前列真ん前に有無をいわさず座らされた。(笑)
 リーミーというは金武というもっとも荒くれ者たちのいる海兵隊基地キャンプハンセンのそばの町で、ロックを歌っていた女性で、あえていえばジャニス・ジョプリンのような人なんだけど、姉御肌でカリスマ性のある女性なんだな、これが。
 かくいう僕も彼女がロックを歌うのはビデオでしか聴いたことがなく、きょうは彼女は実にしっとりとしたアコースティックだった。
 ライブが終わったあと、やっとコロナ(550円)をゲットして、リーミーの店の常連さんなんかと午後1時過ぎまでその店でゆんたく。
 部屋にもどると、昨日から同部屋になっていた男性が、「もしかして、コザ音楽祭で審査員をやっていませんでしたか?」と。
 世界は狭い。(て、コザが狭いだけか)

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