ヨットハーバーの少年

 ヨット仲間の葬儀へ。
 まずは湘南新宿ラインで横浜から池袋まで。
 40分ほどの乗車時間なのでノートパソコンを開いて仕事。
 最近、JRは椅子の高さが少し高くなって膝の上に載せたパソコンの座りが悪い。腰より膝の方が高くなっていないとパソコンが向こうへ滑り落ちてしまいそうになるのだ。
 池袋から東武東上線は生活圏から離れているので、前回もこの電車を利用したのは弔事だったような気がする。
 喪服を着てカシミヤのコートを着て、目指す駅が近づいたのでポケットからプリントアウトしておいたはずの斎場の地図を出すとまったく違う場所。
 執筆モードで僕は何かとんでもない勘違いをしてしまったのだろうか。
 いったいなぜ僕は東武東上線のT駅で降りようとしているのか。
 実は左のポケットに正しい地図が入っていた。
 右のポケットに入っていたのは前回このコートを着て出かけた葬儀場の地図だった。
 式場にはヨット仲間が楽しくしている無数の写真と、レースで優勝した盾やカップやトロフィー。
 どの写真もみんな笑っている。
 ヨットハーバーにいるヨット乗りほど幸福な人間はいないからね。
(もしかしたら演奏中のミュージシャンには負けるかもしれないが)
 会社でしかめっ面をしている立派なオジサンたちが、ヨットハーバーではみな少年の顔をしているのだ。
 48歳の少年が一人死んじゃった。
 涙が止まらないよなあ。
 ヨットの共同オーナーと駅前で昼食を食べて帰宅。
 ひとやすみして改めて黄金町へ出勤。