日: 2013年4月16日

ボストン・マラソン

 仕事でたぶん3回、ボストンに行ったことがある。
 そのたびに、朝、町の中やケンブリッジとの間の流れる川沿いを走った。大勢のランナーに出会い、笑顔で挨拶をしながら走るのが楽しかった。
 ボストンは美しい町で、アメリカの都市の中でもとりわけ好きな町だ。
アメリカの都市の多くが持っている、すさんだ刺々しさのない、心安らかに居られる町。
 3月にマラソンを走った後、カナダにいる弟に完走の報告をしたら、彼はこんどボストンマラソンに出ると言っていた。
 それが何月何日なのか覚えてもいなかったが、朝のニュースで爆発があったと知った。
 メールを出したらすぐに返事が来た。
 自分と妻は無事だ。妻は現場から80mのところにいたと。
 そのときはとにかく無事でよかったとさらりと思った。
 それから80mという距離はどういう距離なのだろうと思った。
 彼女が何を見たのか、いろいろなことを考えた。
 やがて、怒りがこみ上げてきた。
 生きていてよかったと涙が流れた。
 オートバイで10kmほどのところにある墓地にいき、そこにいる父に、これからも家族を守ってくれと手を合わせた。