月別: 2012年5月

ほとんどのものは不要なもの

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 月曜日。長編はいよいよ最後の追い込み。
 語学学校が始まった妻は午前8時半に家を出ていった。
 僕はなんだか疲れが出て、なかなか起きられず、午後9時前起床。
 外は雨降りなので、今日もネットになかなかつなげないな。
 テレビの天気予報は次の日までしかやらないので、「地球の歩き方」のサイトでベネチアの天気を見たりするのだけど、どういうわけか、そちらでの気温の予想はテレビの予報より常に2度から3度高い。
 温度計はないけど、結果はこちらのテレビの予報に近いと思う。情報ソースの違いだろうが、「地球の歩き方」は、いったい誰がやっている天気予報なんだろう。
 朝食は、昨日炊いたご飯に、ふりかけと中国茶をかけてお茶漬け。
 炊飯器はもちろんないし、鍋も蓋が軽い物しかないから、ふっくらちょうどよいご飯はなかなか炊けない。でもパンばかりだと塩分が多くなってしまう。
 というわけで、せめて何日かに一回、ご飯を炊こうと。
 ちなみに、コストは、ご飯<パスタ<パン の順。塩分の順だ。
 ご飯といっても、日本食的な物は、ふりかけを一袋持ってきているだけなので、基本、おかずはイタリア風で、パンやパスタのかわりにご飯を食べるだけ。
 生協で「キッコーマン醤油」が売られているけど、真っ黒で、「いつからこの棚にあるんだろう」状態。
 こちらは食材が豊富で美味しいので、どうしても日本食が食べたいという気持ちも起きない。
 そういえば、こちらへ来てからタバコも吸ってないけど、特別に吸いたいとも思わない。
 テレビもほとんど見ないけど、見たいと思わない。
 横浜の家にあったさまざまな物たちもないけど、ほとんど困らない。
 今までの生活でたいていの物は不必要だったのだ。それがよくわかる。
 唯一、ギターを弾きたいのにギターがないことが、ちょっとね。
 ベネチアはピザがたいして美味しくない。日本の方が美味しい。
 ピザを食べながら「(横浜関内にある)シシリヤのピザが食べたいね」という夫婦の会話。
 日本食よりもそっちが恋しいかもしれない。(笑)
 チェーン店の Ae Oche を地元の人は「ここがいちばん美味しい」という。
 まあ美味しいけど、全体にピザのレベルが低いのだ。
「ベネチアはなんでも美味しいけどピザはね」というベネチア人も。
 世界で一番まずいパエリアを食べたのはスペインだったし、世界で一番まずいピザを食べたのは8年前のベネチアのサンタルチア駅だ。
 日本人の舌に合っているという要素もあるだろうけど、それを差し引いても、日本のレストランはとてもレベルが高いと思う。
 蕎麦も本当に美味しい店は老舗より新しい店に多いように、日本人の研究熱心さはすばらしいね。
「本場」とか「老舗」とかいうのは、ひとつの指標だけど、それより常に努力している人がいい結果を出すということだ。
 昼になって広場へ出てネットに繋ぎ、昨日の地震がM6だったことを知る。

地震

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 午前4時、かなり強い地震で目が覚める。
 こちらへ来て4週間になるが、有感地震は初めて。
 窓を開けると、近くの人同士、窓越しに話をしている。
 夜なのに、驚いたハトが飛び立っていく。
 すぐに地震と津波をイタリア語でなんていうのか辞書を引く。
 terremoto と maremoto.
 ラジオやテレビで言及されたときにすぐにわかるように。
 揺れは、その後、1回だけ弱い余震があっただけだが、津波が心配。
 津波が来たら水上都市ベネチアはひとたまりもない。
 津波によって、ベネチアの歴史が、今日、終わるかもしれない。
 だが、テレビをつけても、ラジオをつけても、特に地震情報はない。
 言葉ができないと情報弱者になる。
 福島原発事故の時に外国人がさっさと逃げたのは当然だ。
 それと同じだけ日本人も逃げるべきだと言っていたへんな日本人も多かったけど。
 情報が集められないので、歩いて本土へ避難し始めることも、頭の中では考えたが、「津波が来たら死のう」と腹をくくって、また眠りに就いた。
(言葉ができても、ふだん地震の無いベネチアでは、おそらく地震や津波での避難指示体制なんてできていないから、政府や自治体の避難命令などは出ないだろうし、そもそもろくな情報も提供されないだろう)
 午前8時、津波もなく、平和に目覚めた。
 冬支度が不十分で限られた物を着たきり雀になっている。
 月曜日の方が空いているけど予報では週明けは雨が降りそうなので運河向こうの BENETTON へ。
 30%引きのジャンパーとサマーセーターで、99.91ユーロ。
 これで、僕も macaroni だ。(注:英語またはフランス語)
「マカロニ」のイタリア語のスペルは maccheroni で上とは別の意味。
 説明してしまうと、英語のマカロニは「しゃれ男」「チャらい野郎」「スカした野郎」「イタ公」みたいな(イタリア男をバカにした)意味。
 映画「サタデー・ナイト・フィーバー」は、そんな「マカロニ野郎」のイタリア系アメリカ人が主人公。
 VENETO 州で生まれたらしい BENETTON はブランド物ではなくてリアルクローズなので、観光地であるベネチアでも店が空いていて買い物もしやすい。
 日本でお店に入らないのでよくわからないけど、多分日本の BENETTON より安いと思う。日本の GAP くらいの値段だから。
 毎朝パンを買いに行っている MAJER のオーナーは、元日本ベネトンの社長だったそうで、奥さんは日本人。
 その MAJER のいくつかの店ではおにぎりが売られている。買ったことないけど。(1.2ユーロ)
 どうやらイタリアにお菓子の修行に来た日本人が作っているらしいのだが、イタリアへ来ておにぎりを握らされている菓子職人って、ちょっとかわいそうな気がするなあ。
 同じ握るのでも寿司なら、世界中でつぶしが利くけど、おにぎりじゃなあ。
 でも「Onigiri」を掲げてニューヨークでおにぎり屋を始めて、ロッキー青木みたいなアメリカン・ドリームになったりして。
「寿司なんてもう古いんだぜ、アニメ? ちがう。これからはオニギリだ」
 なんて、いままで寿司ネタについて英語で蘊蓄を語っていた、ウォールストリートあたりのスノッブなガイジンがオニギリについて語り出し、世界中に新しいタイプの日本かぶれの「オニギリ野郎」が出現するかもしれない。
 もちろん、アボカドの入ったオニギリも登場する。
さて、
 混雑を承知でリアルト橋までやってきたもうひとつの目的は、ACTV のプリペイドカード( suica みたいな非接触ICカード)を作ること。
 こちらに来てから Vaporetto は1回6.5ユーロから7ユーロに値上げされた。
 5年間有効のカードの発行料が一般で40ユーロ(住所がある人で10ユーロ)するけど、以後、11ユーロをチャージすると10回乗れる。
 本土方面の路線バスにも乗れる。
 切符売り場のない乗り場(我が家の最寄りの S.STAE もそう)からも楽に乗れる。
 切符を買うのに並ばなくてよい。(時に混んでいると30分以上並ぶ)
 我が家はベネチアの地理的中心にあって、主な場所へはどこでも徒歩15分圏内なのだけど、10回で11ユーロなら、日頃の買い物にも気軽に使える。
 しかし、たかが交通カードのくせに、さすがイタリア、ひどく手続きが面倒で、二枚複写の用紙に記入して特定のチケットオフィスに提出する必要がある。こういう制度があるという告知もほとんどされていない。
 書類を出すとそれを見ながら係員がデータ入力をする。
「写真もってきたか?」と聞くから「ないよ」というと、パスポートの写真をウエブカメラで取り込んで写真入りのカードができあがる。
 僕の場合、係員がパスポートからうまく撮影できず、ガラス越しに直接、僕の顔を撮影して作った。
(だから最初から写真は要らないんだけど「写真持ってきたか」と必ず聞かれる)
 ズボンの予備は十分にないので、帰宅後はすぐに洗濯して外に干し、いつものように仕事。
 午後3時20分。また地震。
 午後3時50分。雨が降り始める。

郊外へ

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 午後からとあるお宅に招待されているので、始動は早く。
 
 午前8時前に広場でメールチェック。
 通勤通学の人通りはあるのだけど、この時刻、ベンチに座っているのは、いつもナイキのマークのジャンパーを着ているホームレスの人と僕だけ。
 大道音楽家とホームレスと僕は、一日に何度も広場で一緒になるので、お互いに顔を覚えている。
「広場でいつもパソコンを拡げている東洋人」というのは目立つので、僕が知らないだけで他にも僕を覚えてしまっている人はたくさん居ると思う。
 明らかに顔なじみなのは、COOPのレジの人とか、量り売りのワイン屋の人(笑)とか。
 できれば、そういう人たちと世間話ができるような語学力をつけたいものだ。
 最終目標はバールで役人の悪口をいいながらワインを飲む、てやつだが。
 昼前、自動車社会と自動車のないベネチアの接点であるローマ広場でT教授のプリウスにピックアップされ、高速道路で郊外へ。
 イタリアではエンジンの音がしないといやだという人が多くて、あまりプリウスは売れていないらしい。
 エンジニア的には、どうせコンピュータで数値制御しているのだから、回転数や燃料噴射装置などの情報からDSPでエンジン音を合成してスピーカーから出すくらいのことはそんなに難しくないと思うのでつければいいと思う。
 車には遊びが必要。静かな車もいいと思うけど、イタリア人のいうこともわかる。
 実際、趣味性の高いオートバイの設計には「心地よい振動を残す」ことが求められている。振動を小さくする方がむしろ簡単で、心地よい振動を設計で作り込むのは難しいのだ。
 イタリアに来て以来、初めてベネチアを離れて、イタリア本土に。
 郊外の住宅地の邸宅に到着。
 どう少なく見積もっても敷地は300坪以上ある。
 庭には大きなもみの木が2本あるのに、広々としたオープンスペースがあり、梅やソメイヨシノも植えられている。梅の実はグラッパに漬けて梅酒を作るのだそうだ。
 さっそく、奥さまの手料理の小鯵とオリーブの前菜、イカスミのスパゲッティ、ホワイトアスパラと牛肉のハム、マグロのサイコロステーキのようなもの。
 飲み物はプロセッコとシャルドネ。
 プロセッコはベネト州の葡萄品種、シャルドネも、もともとこのあたり北イタリアのものだそうだ。
 食事の後は、テラスで昼寝。
 大相撲14日目を録画で見てから、周辺を車で案内してもらう。
 あたりはベネチア貴族が Brenta 運河沿いに別荘を建てていた地域で、ホーンテッドマンションみたいな超豪邸が並ぶ。
 多くはホテルやレストランに改装されているが、一部は朽ちていたり、個人が住んでいたりする。
 極めつけは、ナポレオンやムッソリーニも泊まったことがあるという「イタリアのベルサイユ宮殿」こと、Villa Pisani。
 敷地内に迷路があったり、バラ園があったり、本館の回廊や屋根などにはさまざまな彫刻があったり。時間がないので中へは入らず。
 夜9時半からは、T教授夫妻と自家用車とバスのパーク&ライドでベネチアへ戻り、コンサートを聴くはずだったのだけど、朝に起きた高校生死亡したテロ事件のせいで中止。
(町全体には特に自粛モードなどはなく、なぜ、離れたところのその事件で中止になったのかはまったく不明)
 やむなく(?)サン・ポーロ広場でビールとピザの会に変更。
 4月24日にイタリアへ来て以来、初めての休日でした。
 あとは執筆中の長編を書き終えるまで休みなしの予定。

8年半ぶりの店で51食ぶりの外食

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 ベネチアは北緯45度26分。札幌よりもかなり北。
 最低気温11℃、最高気温20℃。
 今日も寒い。
 広場へ出たら wifi が検出できない。
 デバイスドライバーの動作不全っぽいのでパソコンを再起動しようとしたら windows update 16本が始まってしまって、にっちもさっちもブルドッグ。
 待っている間に凍えてしまった。
 午前9時30分にやっとメールを送信。
 帰宅したところで、メールを受け取った編集者から電話。
 新刊の宣伝文とか営業活動の計画とかの話。
 朝食の後、洗濯。
 本当は午前中に日が当たるので、もっと早くしたかったのだけど。
 寒くて仕事のやる気が出ないうちに腹が減ってくる。
 語学学校の手続きを終えた妻が帰宅したところで、昼食。
 今日もまたペンネ。ソースはお手軽にツナとする。
 ペンネがなぜ簡単かというと、スパゲッティに比べて、
  1)沸かす湯が少なくていい、
  2)茹でた鍋から揚げるのにザルが要らない。
  (鍋にフタをして隙間から湯をこぼせばいいから)
 ゆで時間11分の間に、楽勝でトマトソースが準備できてしまうので、茹で上がったペンネをそこに放り込んで軽く混ぜればできあがり。
 外の方が暖かいので、パソコンを持って外出。
 外の仕事場は、本日も Museo di Storia Naturale .
 夕方から、妻とリアルトの方へ出てウィンドウショッピング。
 Trattoria alla Madonna で妻の誕生日ディナー。
 焼きアーティチョーク、イカスミのスパゲッティ、黒鯛のグリル、プロセッコ。
 2003年の12月には同じこの店で僕の誕生日ディナーをした。
 8年半ぶりにこの店に来たことになる。
 そういえば、5月1日の夕食を最後に、僕はすべて家で自炊していたので、51食ぶりに外食をしたことになる。
 たぶん、これは連続自炊新記録だ。
 その前がホテル暮らしで21食連続外食だったけど、このくらいはNECの技術者だった独身時代に3食社員食堂だったり、シリコンバレーを行き来していた時代にホテル暮らしだったりしたから、時々ある。

大台

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(昼は一人なので作るのは一番手軽なペンネが多い。これはマッシュルームとムール貝のトマトソース ペンネというのは「ペン」のことで「作家」という意味もある)
 あいかわらず寒いけれど、幸い日差しが強いので、カーテンを開けておくと窓から赤外線が入ってきてくれる感じがする。外の気温が室内より高くなったら、まどを空けて暖気を入れよう。
 2袋目のコーヒーの粉がなくなったので、豆を町内の MAJER からナショナルブランドの LAVAZZA に変更。
 LAVAZZA の方がちゃんとした酸味もあって美味しいと判明。
 日本で売っている同じものより美味しい気がするのは、回転がいいからか、水や空気があっているのか。そもそも袋の封を切った時の薫りが違うような気がする。
 編集さんからメールで、発売前の事前の仕掛けのため、さらに発売日を7月11日まで遅らせたいと。
 6月下旬発売の当初予定に合わせて、営業活動のためにわざわざ飛行機代使って日本へ一時帰国するので、ずらしてもいいけどキャンペーンをしっかり計画してね、とお願いする。
 初版印税に比較して帰国飛行機代は馬鹿にならないので、しっかり重版狙わないと。
 イタリアに戻るのが遅くなると、世の中が夏休みになって、飛行機代も高くなる。
 正午前、原稿、大台に乗る。
 ここから終盤へ。
 今日も、Museo di Storia Naturale にはライオンのような猫がいた。
 ううう。3週間ギターを弾いていない。ギター欠乏症。
 ギターを売っている楽器屋は見つけてあるのだけど。中古の安いのないかな。
 夕方、散歩がてらリアルトのレストランまで歩いて予約しに行ったら、予約は取っていないので、当日直接来てくれと。
 本日の支出は70セント。(生協の水 1.5Lx2本)
(夕方のサンジャコモ広場は子供だらけだ。こんな風景、この10年、日本で見たことない)
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寒い家でイタリア人の幸福について考える

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 天気予報によれば、午前中雨で、最低気温12度、最高気温17度。
 これでは午後になっても部屋の温度が上がらないし、外へ出て暖を取ることもできない。家の中でなんとか暖かく過ごさなくてはならない。
 というわけで、台所で熱風式オーブンの扉を開けて、それを送風暖房機として使う。
 ただし、飛行機に乗っているような轟音が鳴る。
 そこは SONY WALKMAN のノイズキャンセル機能が便利……。
 と、専用イヤフォンを探していたら家中の電気が消えた。
 階段の電気も点かない。
 ブレーカーがとんだらしいが、ブレーカーがどこにあるのかわからず、アパートの下の倉庫をまさぐっていたら3階のオジサンが Buonjourno とやってきて、廊下の電気が点いたので、どこを操作したのかと聞いたら、「ここだよ」と。
 とまあ、そんなわけでドタバタ喜劇のような朝の光景。
 ノイズキャンセルのイヤフォンは見つかったけど、オーブンを暖房に使うのは無理だとわかったので、どうでもよくなった。
 ちなみに、テレビに天気予報専門チャンネルがあって、一日中、3分くらいの周期で天気予報を流しているけど、その内容が更新されるのは一日二回だけだ。
 予報の内容も朝、昼、夜、となっているだけで、きめ細かな情報は一切なし。
 そういやバスルームの天井燈は切れたままでまだ治っていない。まあ、イタリアだからね。
 最初からイタリア生活に、完璧なメンテナンスとか完璧な作業とか一貫性のある対応とか、そんなものは期待していないので、こういうのは特にストレスではない。
 そういう自然環境に生きていると思えばいいだけだ。
 太陽が昇ったのに曇っていて薄暗い、とか、雨が降って道路が濡れている、と文句をいってもしかたがない。それと同じ。
 降る日も照る日も曇る日もある、ということだ。
 だってイタリア人もイタリア人に期待していないのだから、絶対に改善されたりしないのだ。
 代わりに、夏時間でいつまでも陽が高い夕方、広場を囲むバールでワインを飲みながら、子どもたちが遊び回る姿を見ているという幸福が、ここにはある。
 たぶん、壊れたものがすぐ治ることと、こういう幸福は両立しない。
 Vapporetto の料金が何の前触れもなく6.5ユーロから7ユーロになっていたり、郵便局にあるはずの手続き書類がいくつもの郵便局を探し回って見つからなくて、挙げ句にやっと見つかった書式は古い物だったりとか、窓口で聞いても、払い込むべき手数料の金額を誰も知らないとか。
 行政システムからして(行政システム「だから」だとイタリア人は言うが)そんな感じ。
 たとえば、ここ数日、サンジャコモ広場では植え込みを囲む柵を作り直している。
 日本人がやれば、決まった寸法の杭をつくってきて打ち込むだけの作業だから、1日で終わると思うけど、ここでは、L型鋼の長い棒をもってきて、現場へ来てから職人が金切り鋸で1本1本切ったり溶接したりしている。
 作業の効率化とか、行政サービスのスピードアップ、なんて概念そのものがない。
 日本式作業の効率化を掲げた市長が当選して、公園のメンテナンスを効率化したりしたら、マフィアに暗殺されるかもしれない。(笑)
 だって、工期が5分の1になって、費用は半分に「なってしまう」から、きっと食えなくなる人が沢山出るのだ。
 イタリア人はみんなイタリアの社会システムに文句を言うけど、本心ではどこかでそれを許しているように見える。
 完璧な行政サービスなんかできたら、夕方のバールで話す話題がひとつなくなってしまうからね。どこの国でも役人の悪口は酒の肴だ。
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猫はライオンの仲間だった

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 なぜか昨日はひどく疲れが出て、夕食後、小休止と思ってベッドに入ったら、そのまま起きられずに眠ってしまった。
 というわけで、朝4時に起床。
 何はともあれ、moka でコーヒーを淹れて。(笑)
 さっそく仕事開始。
 台所が一番暖かいのだけど、それでも午前6時過ぎに、あまりに足が寒くて、離脱。ベッドに潜り込む。
 とにかくここでは寒さにやられている。
 午後は自然史博物館の庭のテーブルへ出かけて仕事。
 そこで見た猫が植え込みの中のトカゲを捕まえるときのスピードといったら。
(顔と尻尾の先以外の毛を刈られている不思議な風体の猫)
 爽やかで心地よい風が吹き抜けていくテラス。
 建物の中に入るには8ユーロ。庭までなら無料。(笑)
 夜は妻が外食なので、冷凍のむき身のアサリを買って来て、スパゲッティーニ・ボンゴレ。
 こちらはパスタが安いので、いろいろ買って来て楽しんでいる。
 細長いものは、細い方から、カッペリーニ、スパゲッティーニ、スパゲッティの順。
 他に常用は、ペンネ・リガーテ、ステラリーネ、など。
 ひきつづき、執筆快調。
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龍井茶(ろんじんちゃ)

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 ベネチアの朝、本日は快晴。始まりは龍井茶(中国の緑茶のひとつ)で。
 これは先人の置き土産。
 このアパートの住人は、我が家の前はスペイン人で、その前は日本人だったようなのだけど、なぜに未開封の龍井茶が?
 うちはもともと中国茶をよく飲むので龍井茶は歓迎。
 イタリアはコーヒー社会で、紅茶にしてもリプトンイエローラベルが幅を利かせていて、あまり美味しいお茶が飲めないところ。
 執筆の調子が上がってきた代わりに身体がいろいろ傷んでくる。
 小説書きは肉体労働である。
 腰は頻繁にストレッチ。
 右手首は保存療法で、執筆以外にはなるべく使わない。
 ドアも左手で開けるようにする。(など、いろいろ不便)
 それにしても、パナソニック・レッツノートのバッテリーのスタミナはすごい。一日、どこで仕事しても電源の心配が要らない。
 こちらの体力・気力がバッテリーより先に負ける。
 COOP の品揃えが安定しなくて、一人当たり消費量が日本の7倍のイタリアのくせにトマトがなかったり、COOPのくせにCOOPブランドの水が品切れだったり、常用の San Benedetto の frizzante (発泡水)がここ何日、売っていなかったり。
 というわけで、本日は COOP と BILLA の両方へお買い物。ゴミ捨て袋も枯渇してきたので、袋ももらう。(正確に言うと袋は「買う」0.1 euro )
 夕方、来客。
 呼び鈴が動作せず、1階から上がってくる階段の電気が点かなくなっていることが判明。
 夕食はマッシュルームのオムレツ。
 ムール貝入りアチェートバルサミコ・サラダ。

雨の朝

 窓の外で水の垂れる音がしていた。
 上の家の洗濯物から垂れる滴かと思っていたのだけど、窓を開けると雨降り。
 寝る前に118チャンネルで天気予報を見たときにはそんなこと言ってなかったのに。
(118チャンネルで1回3分くらいの天気予報を延々と繰り返している)
 いずれにしても昨日は28度くらいあったと思う最高気温も一転17度とひんやりとしている。
 初期コストがだいたい落ち着いてきた。
 ランニングコストとしての食費だけだと、ちゃんとした食事をしていても、外食なしなら二人で一日あたり10ユーロくらいで生活できるようだ。
 広場に出ないとネットがつながらないので、雨が降っていると情報遮断。
 黙々と小説を書こう。
 昼前に雨が上がったので、ネット繋ぎと買い物のためサンジャコモ広場へ。(日曜は生協が午後1時まで)
 iPod touch がくたびれてきているので、こちらで新しいのを買ってしまおうかと、アップルのイタリア語サイトで値段を調べたら、199ユーロ。(日本では16800円)
 もう少し買うのは我慢しよう。
 晴れると紫外線が強烈なので、スプレー式の日焼け止めを買って来た。
 また寒い日に逆戻りで、家の中でフリースを着て仕事だ。
 自分の事務所みたいにアーロンチェアじゃないので、同じ椅子に座り続けることができず、部屋の中でも場所を移動しながら原稿を書くのだけど、ソファに胡座(あぐら)をかいてパソコンを操作していると、ソファが冷たくて身体が冷える。
 午後の散歩の後、また広場でネットにつないだが、寒くて芯まで冷えてしまった。
 執筆、ひきつづき好調。
 おかげで右の手首が痛み始めている。
 本当の追い込みはこれからなんだけど。

内臓を取り出してください

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 朝食後、昨日ロケハンをしておいた市場へ。
 どんな物があるかは、だいたいわかっている。
 買い方はわかっていない。(笑)
 とりあえず尾頭つきで酒蒸しにして食べることを想定する。
 どれどれ、orate と書いてある、表示は複数形だから単数形は orata だ。
 辞書を引くと、チヌ、クロダイ、と書いてある。(まあ、見た目もそういう感じだ)
 女性名詞だから、指差して Questa !
「腹を出すか?」
 みたいなことを聞かれたので si と答える。
 明日は日曜日でゴミ収集がないので内臓を出してくれるのはとってもありがたい。
 内臓のある状態で目方を量ってから内臓を取り出す、水で濯いで紙でくるんでからビニール袋に入れてくれる。
「他には?」「それだけ」
 と、量り売りだから、ここで言われる値段を聞き逃さないようにする瞬間がいちばん緊張する……
 のだが、値段を口で言わず、計りから出てきたレシートを差し出して見せてきた。
 さずが、魚市場も、外国人なれしている。(楽だけど、ちょっとつまらない気もする)
 3.9ユーロ。
 ここで、5ユーロ札を出さずに、2ユーロのコインを2つ出す、くらいにはこちらも買い物に慣れてきている。 (こういう小さな進歩が自分の中ではうれしい)
 日本で2000円札は流行らなかったけど、ドルでもユーロでも5/10ではなく、わりと2の整数倍が単位になっている。
 ちなみにユーロの硬貨は、
  セントが 1,2,5,10,20,50セント の6種類。
  ユーロが 1、2ユーロ の2種類  
 全部で8種類もあるので、ポケットから出して瞬時に計算するのはかなり難しい。
 そこで、右ポケットには50セント以上の硬貨、左ポケットにはそれより細かいもの、というふうに3種類と5種類にわけて持ち歩いている。
 こうすると、5ユーロ以上の買い物の時にはお札と左のセント、それより少額の時は右からユーロ、左からセント、という感じでかなり計算がすっきりする。
 80セントは、日本なら「50+30」だけど、こちらでは「4x20」という感じなので、50セントはセントの仲間というよりユーロの仲間。
 フランス語で80を quatre-vingts というのがこの感覚なのだろうと思う。
 Bancomart (ATM) で300ユーロを下ろすと、4x50+5x20 というお札が出て来る。
 日本では1万円札3枚だよね。
 こちらでは50ユーロ札でも、ぎりぎり大きすぎて使いにくい感じ。
 次回は、自分から「このクロダイ。内臓を出して」と言えるようにしたい。
 午後は新しい仕事場の開拓も。
 家から2分ほどの、Museo di storia naturale (自然史博物館)の中庭に屋根があって、椅子とテーブルがあって、無料で、余り人がいなくて、静かに仕事ができる。
(入館料は8ユーロです。日本語パンフレットもあります)
 それにしても急に日差しが強くなって、外はかなり暑くなってきている。
 紫外線も強烈なので、外出時は日焼け止めを塗った方がよさそうだ。
 夕食は、オーブンで作ったクロダイと野菜のワイン蒸し。
 食後も仕事。
(本日分については)進捗、よし。
 写真はできあがったクロダイのワイン蒸し。
 野菜は、トマト、ズッキーニ、マッシュルーム、玉葱、黄色いピーマン、ルッコラ、レタス。
 安すぎて不味かった生協の紙パックワイン150mlとオリーブオイル大さじ3杯を周りから入れて、アルミホイルをかぶせてオーブン(200℃)で30分。