深夜の救急搬送

 午後10時過ぎ、そろそろ仕事を畳んで帰ろうかという時刻、知らない番号から電話がかかってきた。
「セコムですが、○○さんですか」と本名あてだ。
 一人暮らしの母が急病でアラームを押した。救急車が向かっているので、準備していて欲しい。と。
 オレオレ詐欺かもしれないので、すぐに母の携帯に電話してみると男性が出た。
 いま現場から救急搬送を始めるところだが、行き先の病院はまだ決まっていない。決まったら電話をする、と。意識はしっかりしていて自分で歩ける状態らしい。
 これが全部詐欺のシナリオならよくできているなあ、と推理作家協会会員は思うわけだけど、そろらくは本当のことなので、準備を始める。
 オートバイで出勤してきているので、どこへでも出かけられる。
 ほどなく、救急隊員から搬送先の情報が届く。
 行き先の病院の場所と道順をインターネットで確認して NEXUS 7 の地図にも表示させて、オートバイで走り始めた。
 午後11時過ぎ、病院に到着。
 この時刻の病院はひっそりとしていて、人気がない。
 そこだけ電気が点った待合室に居るのは、救急患者の家族と、自力で救急診療に来た人だけ。
 出入り口付近で盛んに携帯電話であちこちと連絡を取っているパンツスーツの女性。カップルできて、待合室で体温計を渡されている女性。などなど。
 母は救急処置室に隣接したところで点滴を受けていた。
 意識ははっきりしている。
 しばらくして、車椅子で検査に出て行く。
 もどってくると、医師の説明があり、尿路結石が原因の発作であろうということ。
 痛みも治まっているので、翌日、泌尿器科を受診することにになり、帰宅することに。
 一旦バイクを置いて、タクシーで母の家に行き、一人で過ごせることを確認して、再びタクシーを呼んで、病院に戻る。
 そこからオートバイで自宅へ戻った。
 一仕事終わった午後10時からが長くなった一日だったが、母の病気も大過ないようでよかった。