



次の次、第4作に予定してる小説の取材。
横浜大岡川沿いの黄金町から初音町にかけて桜通といわれる場所があり、そこは2005年に排除されるまで、「ちょんの間」と呼ばれる売春宿街だった。
聞くところによれば、15分3000円とか5000円とか。 (ながい歴史のあることだからたぶん調査時のちがいだろう)
間口は自転車の長さほど。
看板には「スナック」とあり、なかにカウンターはあるが、そこで酒を飲む人はいない。一番奥の狭い階段を登ると二階にセンベイ布団が敷かれた部屋があるわけだ。ドアの形は多少違うが、建築様式はきわめて似通っている。
2002年ごろには、夜になると、白人女性(東欧系)が店の外に、ボディコンとか超ミニで立っていて、ピンクや青の蛍光灯で照らされていた。肌が白い彼女たちはそんな光で現実感のないSFかCGの世界の女みたいに見えたものだ。
路地の向こうとこちらのエンドには用心棒と思しき男性がそれとなく立っていた。推測されるその役割は、狼藉者の排除、女の逃亡防止、警察の手入れの検知。
女性はコロンビア人やタイ人が多かったという人もいる。



2005年、行政によって一掃された売春宿は、いわゆる再開発が起こっている。が、イメージの悪い街の狭くて小さな物件、つまり、安い家賃によって、若者たちにビジネスチャンスを生んでいる。
新しい店の中を覗くと、かつての室内の構造がよくわかる。
大岡川を隔てて二本ほど伊勢佐木町よりの通りを若葉町といい、そこはタイ人街である。
10kg入りのタイ米が買える小さなマーケット。
タイ料理の店が点々と並ぶ。
そのなかの一軒に夕食に入った夜9時過ぎから11時前まで、店の中はタイ語しか聞こえてこなかった。
大きなスタイリストバッグをふたつ、重そうに両肩にかけた女が、店の主人のところに、音の出るぬいぐるみを行商にやってきた。会話はやはりタイ語だ。
しばらく彼女の顔をじっと見つめて話を聞いていた店の主人は、やがて顔の前で手を振って「いらない」と意思表示をした。
一晩にいったいいくつ売れて、彼女の収入はいくらになるんだろう。
午後10時現在、彼女のバッグははち切れんばかりだった。
「ちょんの間」の内部を撮影した関連エントリーは こちら


