Diary

映画「すべては海になる」 その2

 新宿バルト9で劇場公開中の「すべては海になる」(山田あかね監督)を見た。
 エキストラで出演している阿川大樹は、試写につづいて二度目だけれど、なんど見てもいい映画だと思う。
 改めて、本への思いとか、小説を書く人の思いとか、そんなことを考える。
 小説を書くようになって、本を読む時間が少なくなっている自分にちょっと危機感を持ったり。
 元演劇人だったこともあるし、小説家なので、一方で、習慣的に作る側の視点が入る。2回見て初めて気づく多数のこと。
 小道具に込められた小さなこだわりとか。
 あ、主人公千野夏樹の部屋の壁の絵は原作の表紙の絵だ! とか。
 三崎口の駅は朝早く到着の設定だけど、影が短いから撮影は真っ昼間だ、とか。
 劇中の時間変化より、影の長さの変化が大きくて、撮影にこれこれの時間がかかったらしい、とか。
 冬の服装をしているけど、それにしては影が短かい、とか。
 書店のシーンは夜中の撮影だったけど、どう見ても昼間に見えて照明さんすごい、とか。
 バスは八王子だ。書店は横浜で、タリーズコーヒーも横浜ランドマークタワーの3Fだとか。
 もしかしたら大高家の中と外は別の場所だろうか、とか。
 カット割りと場面転換がうまいなあ、とか。
 ドアの音が、次のカットを先取りしているぞ、とか。
 けっして、あら探しとか、裏を暴くとか、そういうのではなく、そうやって観るときに、作っている人たちの思いや技を感じるのがけっこう好き。

音楽は楽しいなあ

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 本日も、コトコトと雑用をしつつ、夕方から渋谷へ。
 歌手の nire さんのライブ。
 打ち上げにも参加させてもらって、音楽談義。
 大好物のハムカツも食べられたし、楽しいなあ。
 音楽家たちと話していると、自分も音楽やりたいと思う。
 とはいえ、やるならきちんと向かい合ってやりたい、などと思うと、足がすくんでそう簡単にはできないのだな。
 せめて、ボイストレーニングを少しだけやって、上の「E」が自然に出るように保っておくくらいか。
「G」まで出れば御の字、「F」で十分、「E」が出ないとかなり困る。
(写真は、黄金町の猫 Canon EOS20D )

明けましておめでとうございます

 何年かぶりに大晦日には紅白歌合戦を見ました。
 基本に還って、歌を聴かせることに徹していて、ふだん聴かない歌手たちの歌を聴くことができて、けっこう楽しかったかも。楽しませることは奇をてらうことではないのだと、あらためて思いました。
昨年2009年のの阿川大樹は、
  黄金町に仕事場を開きました。
 「フェイク・ゲーム」(徳間書店)発売しました。
  初の連載小説「第三企画室、出動す」(日経ビジネスオンライン)が始まりました。
 と、仕事の面では、自分なりに前に進むことができました。
 一方、プライベートでは、
  あまりヨットに乗れませんでした。
  フットサルにも、ソフトボールにも、あまり参加できませんでした。
  人生最高体重を記録してしまいました。(やばい)
  エキストラで映画「すべては海になる」(山田あかね監督)に出演しました。
本年2010年の阿川大樹は、予定と希望を含めて、
  引き続き連載「第三企画室、出動す」毎週火曜日掲載を継続。
  書き下ろし長編の単行本(タイトル未定)、刊行予定。
  夏から秋にかけて絵本が刊行予定。
  2冊文庫化予定。
 「第三企画室」の単行本化の他、できれば、書き下ろしをもう一冊、刊行希望。
  どこかの雑誌に短編を書きたい。(いまのところ単なる希望)
  冒頭シーンにいきなり僕が登場している映画「すべては海になる」は1月23日から、全国で公開です。
 というわけで、おそらくプライベートがどんどん仕事に浸食されていきますが、小説家としての人生と日常を粛々と送りたいと思います。
 みなさま、本年もよろしくお願いします。
                                     阿川大樹 拝

メキシコ料理「エスペランサ」

 午前中、妻の Let’s Note を修理受け取り業者に渡すため在宅。
 午後遅くなってスタジオへ出勤。
 本日も雑用。
(主として、mac mini の環境で仕事ができるようにする準備作業)
 夜は、関内のメキシコ料理店「エスペランサ」。
 ビールとワイン。
 ここのメキシコ料理はおいしい。
 めちゃめちゃ辛いソースも出てくるので、ソースのご利用は計画的に(笑)
 一滴を箸の先で下につけるだけで、ピリピリするのもある。

討ち入り

 起きて、洗濯機を回しながら入浴。
 本日、いよいよ討ち入りにつき、ドーピング。
 アリナミン、ビタミンC、ブルーベリー、ムコスタ、ロキソニン。
 ジャックモールのマクドナルドで朝食をとろうと思ったら、席が空いてないので、失意とともにランドマークのマックまで移動。
 途中HACドラッグで栄養ドリンク10本のアミノ酸サプリを買って、徒歩にてスタジオへ。
 最終決戦態勢である。
 午後7時、横浜橋「梅月」でロースかつ定食(1000円)。味はあんまり。
 この時間、むしろ飲み屋になっていて、会社員のグループが議論していた。
 なんとなく懐かしい。
 午前0時前、470枚の赤入れの修正が終わる。
 さて、あとはラストシーンを書くだけ。
 ここまでくると、書き終えてしまうのがなんとなくもったいなくなっているという不思議な心の在りよう。
 同じ棟の別のスタジオで、さかもとゆりさんが、大岡川イベントのインスタレーションの制作の追い込みをやっているので、栄養ドリンクを陣中見舞いに差し入れ。
 午前1時、聚香園でカニチャーハン。
 午前4時、まだ終わらない。
 一時間は寝るつもりが4時間眠ってしまった。

書いたり食べたり

 正午過ぎ、起床。
 朝食は久々にトースト。スクランブルド・エッグを作った。
 夕方までに、赤入れが終わったので、直しにはいるため、スタジオへ。
 午後7時、スタジオ到着。
 翌午前0時半、直しが半分終わったので、聚香園へ食事に。
 定食4番700円。激うま。満たされるぅ。
 この店は夜遅く食事をする人が多くて、酔っぱらいがいないのもいい。
 まだ残っているけど、疲れたのでやめる。
 最終日の体力を確保しないと。
 午前4時、休むため、タクシーで帰宅。

ひたひたひたと、脱稿へ近づく

 午前4時過ぎに寝て、午前10時過ぎに目覚める。
 暖房をかけていなかったけど、寝袋なら大丈夫。
 まずは連載小説の校正。
 しかるのちに、LCAMP でモーニング。
「パンがまだ焼けてないので、25分くらいかかりますけど」
 というわけで、焼きたてパンで、おいしゅうございました。
 やや緩めの版組でプリントアウトしたものを、ひたすら頭から読んでいく。
 気がついたところには赤を入れるのだけど、主目的はストーリーの流れを検証すること。
 家でもできるので、気分を変えて、早めに(といっても午後10時過ぎだけど)帰宅。
 途中で、自転車の後輪がパンク。押して帰る。
 3日ほど風呂に入っていなかったので、まずはシャワー。
 後、洗濯をしながら、家のソファで続きをやる。
 午前7時くらいになって、眠くてだめなので、ベッドで眠る。

フリーマーケット

 四時間ほど眠って、午前10時、マンションの防災センター見学会。
 のち、スタジオへ出勤。
 本日、黄金町はオープンスタジオ。
 地域の人たちとともに、フリーマーケット開催だ。
【売れたもの】
  9インチのモノクロモニター 200円
  クラッカー(花火) 10円
  4chミキサー 800円
 「フェイク・ゲーム」 1800円
  ドライヤー 300円
                売り上げ合計 3110円
【買ったもの】
  きれいな色のマフラー 200円
  ブルゴーニュ色の布地 100円
  地元のおかあさんたちが作った焼きぞば 200円
                購入金額 500円
 午後6時から、会費千円で忘年会。
 午後8時過ぎ、スタジオへ戻って仕事の続き。昼間、あまり仕事ができなかったので挽回だ。
 本日も好調で、家に帰るタイミングを外した。
 午前4時過ぎ、スタジオの床で寝袋にくるまって眠る。

とんかつ3日目

 今朝もも仕事場から帰宅したのが、午前7時過ぎ。
 夜来の雨も、上がっていました。
 5時間ほど寝て、第1食は、冷蔵庫で期限が切れていた「冷麺」。
 依然として、ラストスパートの追い込みモード。
 ロースカツ定食食べたら、すごく調子がよかったので、本日で3日連続トンカツです。 一日目と二日目は「かつや」というトンカツ専門ファストフード店。
 110gのロースカツに豚汁とご飯とキャベツで、714円。
 次から使えるクーポンをくれるので、次からは614円。(支払額の100円引き)
 なのに、本日もクーポンを忘れたのでくやしいから「かつや」には行かない。(笑)
 贅沢をしようと思って、「かつ半」へ。
 横浜でトンカツというと馬車道の「勝烈庵」が有名ですが、僕の知っている地元の料理人たちは異口同音に「〈かつ半〉の方が安くて美味しい」といいます。
 というわけで、「かつ半」。
 ロースカツは950円。(80gだと思う)
 これは単品で、定食は250円プラス。
 ご飯とキャベツのおかわり自由。
「かつや」でも十分美味しいけど、やはり名店の味は別物。
 うまい。ランクが違います。
 甘くておいしいキャベツ、おかわりしました。
 というわけで、本日の第二食は、贅沢に1200円也。
 でも、明日の朝、早いので、午前0時より遅くならないようにしよう。

映画「すべては海になる」

 夕方、テアトル京橋試写室へ。
 山田あかね原作・脚本・監督「すべては海になる」。
 この映画、冒頭シーンでいきなり阿川大樹が登場する。手には「フェイク・ゲーム」を持っている。劇場映画、初出演です。(笑)
 撮影は真夏の夜中、冷房の止まった暑い書店だったけど、冬の服装をして普通に冬に撮れていた。当たり前だけど。
 まあ、ここは、監督のお遊びの一部。ヒッチコック映画で自分が登場するみたいな。
 それはともかく、この映画、いい映画でした。
 大作ではないけど、いい映画。
 もしかしたら見る人を選ぶかもしれないけれど、きちんと作られた上質な時間をくれる作品。
 本当は重い題材なのに、映画自体は十分に明るく作られているのも、手腕を感じる。(手腕を感じるなんて、偉そうな言い方で恐縮してしまうけど、だけど、強調しておきたいから)
 いかにも立派そうに重く作るのなら、ずっと易しいかもしれない。その方が「大作」に見えたり、あるカテゴリーの観客は「感動」したような気がするかもしれないけど、そうはしていない。
 佐藤江梨子をこういう存在感で使うなんて、しろうとの僕には想像もできなかった。(これもレベルの低い褒め方で書くのも恥ずかしいけど)
 とにかく、いつでも女優を「美しく」とか「可愛いく」とか、そういう薄っぺらな使い方ではない。
 書店員の彼女は、たいていの時間、なんだか疲れていて、生きているのはたいへんだなあ、というふうに見えている。
 そして、要所要所で、そんじょそこらの人が到底もっていない神々しさを帯びる。世界が彼女の存在を失ってはいけないと思う瞬間が短い時間だけど、しっかり、狙われて作られているように思う。
 それが、スクリーンいっぱいに映ればシワまで見えてしまう、映画の中の女優の使い方なのだ、と気づかされる。
 問題は、たぶん、「この映画の良さを短い文字で表現する」のがとても困難な映画だということかもしれない。
 見ないとわからないいい映画。
 もしかしたら公式サイトやパンフレットでは伝えきれない。
 それは興行的には困ったことかもしれないけれど、つまり、映画の1時間59分をもってして、初めて表現できるものを持っている映画だってことだ。
 エキストラとして、台詞もない役をこなしただけだったけれど、おしまいのタイトルロールに、阿川大樹の名前がクレジットされていた。
 
「撮影の時に栄養ドリンクを差し入れした」という以上に、僕がこの映画に貢献しているものはない。むしろ、僕が映画の現場を勉強させてもらった上にロケ弁をご馳走になった、といった感じ。
 けれど、いい映画に名前が刻まれていると思うと、無条件にうれしい。
 京橋の試写室を出てから、いい気分で銀座を歩いて新橋まで。
 途中、山田監督に電話して「よかった」と伝えようと何度も思ったけど、意外にシャイな僕は、それができずに新橋の立ち飲み屋でちょっと空腹を満たして、帰宅。
 長編、追い込みモード中で、テンションが抜けたらどうしようという不安があったけれど、作品を作る人の執念というか熱意というかが感じられて、むしろエネルギーをもらえた。
 そのお陰で、帰ってから年末進行の連載エッセイも、さらりと1時間、 pomera で書けてしまった。
 1月23日から全国で公開です。
 映画「すべては海になる」公式サイトは こちら です。