日: 2023年5月10日

映画「ハマのドン」

映画「ハマのドン」を見て来た。
 小説家の取材という意味で思った以上に面白かった。
 藤木幸夫を美談の主人公として描いている。魅力のある人で人を動かす力がある人だということは感じられた。まあ、カジノを作ることを「金のため」と単純に切り捨てればそりゃあ美談になる。
 直感的には藤木の持ち上げ方が気持ちの悪い映画だけど、いろいろなエピソードは面白く取材としては興味深かった。
 カジノ反対の市長が当選した途端に「IR誘致プロジェクト」の数字が「過大見積もりだ」と「検証」されるところに、なにか闇のようなものを感じる。そのとおりかもしれない一方で、検証が山中市長に忖度した「過少見積もり」のようにも思える。真相は不明。
 いずれにしても、林市政がIRの効用を「合計金額としての経済効果」でしか訴求できていなくて、市民生活にどのようなメリットがあるのかを説明できていなかったのだから「金のために云々」と反対されて負けるのは当然とも言える。
 IRの是非とは関係なく「中央政府に対抗してカジノにノーを勝ち取った」という構図で溜飲を下げる人もいるだろう。なんでもいいから政府をぎゃふんと言わせたいという願望を持つ人は多い。
 しかし、コロナで社会が変わり、市長選挙よりも前に誘致を予定してプレゼンしていたカジノ業者たちはすでにどんどん撤退していた。IRを作りたくても作ってくれる業者がいなくなっていたのだ。その空気を察知して、政府は横浜のIRを諦め、さっさと「IR反対」を掲げて小此木を候補として出してきていた。政府はすでに林市長のハシゴを外してIRを諦めていた状態だったので、「藤木が中央政府と戦ってカジノを止めた」というのは事実とは違う。
(エンターテインメントだからそういうストーリー仕立ていくらでもあっていいけど、ドキュメンタリーでそれをやるのはどうかと思う)
 僕自身は海外のIRでギャンブルをしなくても楽しかった経験をしているので、そういう楽しいものができるならそこにお金を落としてくれるギャンブラーがいるのは歓迎だった。
(みんながIRはいらないと選挙で言ったのだからそれは尊重するけどカジノだけを取り上げてIRの是非を判断するのはよい議論ではないと思う)
 映画の終了が21時15分だったので、野毛のイグレックで夕食。