日: 2022年11月6日

軽井沢大賀ホールで声楽

右奥の建物が大賀ホール

 

軽井沢大賀ホールで友人のアマチュア声楽家の発表会があるというので、蓼科から日帰り軽井沢往復。
夏だけでなくこの季節でも軽井沢は要所で道路が渋滞している。
早めに着いてまず昼食と思ったら、プリンスショッピングセンターのレストランなんか「19組待ち」とか当たり前で、人が多すぎて快適に暮らせない。リゾ−トなのに心が殺気立ってしまった。
(別荘族御用達のそれほど混んでいないレストランもあるのだけど道が混んでるからそこへ行く気になれない)
さて、演奏会。
第一部は10人のアマチュアの歌手のアリア。
すごく声が良かったり、すごく声量があるという人や、声はそれ程でもないけど音楽的な歌だなあという人とか、あるフレーズは鳥肌が立つ程だとか、アマチュアなのですべてを備えている人はいないのだけど、そのバリエーションとともに意外にもというと失礼だけど、一人一人楽しみに聞くことができた。
第二部はプロとアマチュアの二重唱とか三重唱が6セット。
一緒に歌うプロはメゾソプラノ・山下裕賀(やましたひろか)、テノール・西山詩苑(にしやましおん)。メゾソプラノが男性っぽい字面で、テノールが女性っぽい名前だけど、カウンターテナーとかではありません。(笑)
ここでは、プロのメゾソプラノ歌手・山下裕賀が圧巻。
彼女の歌を聴けただけで、片道2時間運転して軽井沢まで来た甲斐があった。
個人の体験でいうと、1990年代にコンコードパビリオンでのジャスフェスティバルでウィントン・マルサリスを聞いた時に感情とは関係なく脊髄が刺激されたように涙が出たことがあるのだけど、その次くらいにすごかった。ほとんど涙が出そうだった。
すいません。僕はいままで日本の声楽家を馬鹿にして、聞こうともしていませんでした。素晴らしい人がいてほんとにびっくり。
器楽でも声楽でも日本の演奏家のレベルがすごく高くなっているのを実感する。
第3部では、山下と西山のそれぞれのソロとそれからデュエット。
とにかく山下は鳥肌。
件の友人は第一部のアリアではヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」より「優しい眼差しよ」を、第二部ではヴェルディ「椿姫」第3幕より二重唱。
知り合った頃にはその片鱗も見せていなかった友人が、まさか20年の時を経て、椿姫のヴィオレッタをステージで演じるのを見るとは思いもよらなかった。
もちろん山下さんとは雲泥の差があるし、緊張していたのがわかったけど、立派、立派。すばらしい。
蓼科への帰り道はすっかり暗くなり、山道で4度、鹿に前を横切られた。