日: 2021年10月11日

災害

 このあいだの地震で、大震災の時のことなど思い出した人も多いと思います。

 僕が思い出したのは、非常時に平常運転を目指すと不安やストレスになるので、非常時だからいつもと同じにならないのはしょうがない、というのを出発点にしたいということ。

 タクシーを2時間待つなら2時間歩けばどこまで行けるかを考える。
 交通機関を使わずに2時間歩くなんて普段ならやらないことをやるチャンスだから。(よく考えたらハイキングに行けば3時間くらい歩くのは普通なのだし)
電車が動かなければ移動できないわけじゃない。
 前にも書きましたが、僕は、新宿ゴールデン街で飲んで終電ないから横浜まで歩いて帰って来たということ何度かやってみているので、電車が止まることをそんなに困ったことだともはや感じない。
 パンがなければケーキを食べればいいし(笑)電車がなければ歩けばいい。

 非常時という基準で思い出すのは、スペインをバス旅行したときのこと。
 とある田舎の交差点のど真ん中でバスを止め、バスの運転手が対向車線から来たトラックの運転手と話し始めた。どうやら偶然知り合いを見つけたということらしい。
 スペイン人にとっては、交差点であろうと知り合いを見つけたら、それはもう非常事態に相当するらしくて、平然と客の乗ったバスを止めて車の運転席の窓を開けてしばらくふたりで話をしている。スペイン語分からないけど、たいした話ではないというのはなんとなくわかる。(笑)
 客の方も、後ろに着いた車も、「知り合いに会ったのならバスを止めて話し込むのも仕方がない」と了解しているらしく、車内から苦情もでないし、後ろの車がクラクションを鳴らすわけでもない。じっとまっているんですね。
 運転手が仕事中に知り合いに会ってしまったら、それはもう平常業務を続けることを放棄するほどの非常事態らしいのでした。まあ、田舎の町でのことでバルセロナではそうでないかもしれないけど。

 日本でも、震度5レベルの地震が来れば、スペイン人が交差点で知り合いに会ったくらいの非常事態だから、ふつうに電車が動いたり、タクシー乗り場にタクシーがどんどん来たりしない。そこでふだん通りに電車が動かないことで困ったり、一大事だと思う必要はなくて、家に近づこうとせずともせめて10キロくらいは歩くことにすると、別の路線とか、バス路線とか、朝までやってる飲み屋とか、友達の家とか、随分と選択肢が広がって、心安らかになる気がします。