Diary

孫正義vs佐々木俊尚 徹底討論@ustream

 午前中、珍しく家の電話が鳴る。
 月曜日に行った内科の井上冬彦からで、検査の結果を教えてくれる電話だった。
 1月の検診で出ていた肝臓関係の検査値や血糖値は正常に戻っていた。中性脂肪とコレステロールはやや高い。
 何はともあれ、悪い方に坂を転げ降りてはいないようだ。
 少し遠回りをしながら徒歩で仕事場へ出る。
 あまり調子が上がらず、マンションの理事会の仕事とか、そのほかメールの返事を書いたり。
 午後8時から午前1時まで5時間、事務的なことをしながらustream で、孫正義x佐々木俊尚の対談を聞く(見る?)。
 エンドレスでとことん議論しましょう、という設定は、とてもテレビではできない。こういう手を加えない一次情報こそが面白い。
 それにしても、自分の理想と能力とで、社会を変えていこうという志のある人は素敵だ。
 そんなわけで、帰宅は午前2時過ぎになった。

八木啓代ライブ@下北沢テピート

 午前8時過ぎ、自動的に目覚める。
 いつもながらラッシュ時になると頭の上を京浜急行ががんがん通過するので、寝ていられないのだ。
 雨は上がっているが、空はどんより。
 伊勢佐木町商店街にいくつかある昔ながらの「喫茶店」で昔ながらのモーニングセットにしてみよう、と町へ出る。
 目当ての一軒が休みで別のところはまだ開いてなくてさらに別のところ。
 ナポリタン(650円)があったりするいわゆる喫茶店である。
 モーニングセットにしたって、380円のコーヒーに6枚切りのトーストがついてくるだけで、ジャムもなければゆで卵もサラダもついていない。ほんとに食パン一枚だけ。いまどきこういうのも珍しいよね。
 マクドナルドが味に於いても価格に於いても圧倒的に競争力がある。でも、ここはここでお客さんが入っているんだなあ。自分の土地建物であれば、十分やっていけるのだろう。
 結局、家とか店舗とか、家賃を払って経営するのはなかなか大変だけど、自分でもっているのなら、飲食店は粗利が大きいから、続けていくこと自体はわりと楽なのではないかと思う。
 そのくらいで成り立つ幸福なビジネスっていうのがもっとあるといいのに。だれもが過酷な競争を戦い抜かなくても生きていけるような。
 午後、早めに切り上げて帰宅。
 シャワーを浴びてから、下北沢へ。
 メキシカンレストラン「テピート」で、八木啓代さんのライブ。今日は、古いつきあいの小説家とか翻訳家とかも一緒のテーブル。ひさしぶり。
 伴奏のギタリスト小林智詠さんとものすごく息が合っていた。
 このユニットで聞くのは僕自身は何年かぶりだけど、ふたりはもう長いこと一緒にやっている。
 八木さんが歌うようなバラード系のラテン音楽は、ツービートの基本のなかで、細かくテンポが揺らぐ。(あくまで僕の理解)
 なのに、ギターとボーカルの音符の頭が「いちいち揃って」いて、とても丁寧で気持ちのよい演奏になっている。
 コース料理もとてもおいしかった。
 ダイエット中なのになあ。(笑)

肉を断つ

 スタジオに通勤してくるようになって1年が過ぎた。
 それまで家で仕事をしていたから、ほとんどの食事を自宅で摂っていたのだけど、いまはほとんど外食だ。
 家では、豆腐とか魚が中心で、肉はあまり食べなかった。
 冬などは脂肪が不足して家にいるのにアカギレができてしまうくらいだった。
 今年1月5日、検診を受けたら、LDLコレステロールとGPTが「医者に行きなさい」レベル。
 結果が出たときには長編の改稿に突入したので、医者に行けないまま時が過ぎた。(体のことを心配していたら小説は書けなくなるからね)
 少し心と体に余裕ができたので連休明けに内科医を訪ねようと思っている。
 LDLは俗に言う悪玉コレステロール、GPTは肝臓に異常がある指針。
 同じく肝臓の指標であるGOTはそれほど高くない。
 調べてみると、GOTとGPTの値とその比率で、どんな病気かがわかるのだけど、僕の場合、アルコールによるものではなく、高脂血症と脂肪肝みたいだ。
 というわけで、余裕のあるいま、少し前から、肉を食べない生活をしている。
 中華料理を避けて、サバ塩定食にするとか、タッパウエアに日の丸弁当を持って出るとか。
 もう一つの問題は、仕事をしている時間が長いこと。
 血糖値が下がると脳が働かなくなるので仕事ができない。仕事をしている間中、血糖値を高く保つだけ食事をしていると、時間が長い分だけ、カロリー過多になってしまうのだ。
 というわけで、仕事の時間も集中する時間だけにして、時間を短くする必要がある。それと、食事ではなく甘いもので瞬時に血糖値を上げることで食事を減らせるようにする。
 つまり、肉はできるだけ食べない、仕事は集中して短く、血糖値が下がったら甘い物で補い、食事だけに頼らない、ということだ。
 なんといっても、体が資本だからね。

国語力・ディバイド

 昨日、プリンターのトナーが切れた。
 買ってからちょうど一年。
 最初に入っていたトナーは容量が少なくて1000枚しか刷れないのだそうで、そういえば、紙の消費からいって、1500枚弱くらい印刷している。
 昨日の午後5時過ぎに amazon で注文したら、今日の昼前にはもう届いた。
 便利な世の中だ。
 いまは、食べ物でも、家具でも、なんでも通販で買える。
 だから、ほんとうは年寄りこそ、パソコンを使うべきなのだ。
 使っていない人はなかなか信じられないみたいだけど、人とのつきあいも、パソコンがあれば対面よりもむしろ深いつきあいができる。
 どんなに仲がいい友人がいたとしても、ふつう、毎日会うことはできない。病気になったり足が悪くなったり離れていたりすればなおさらだ。
 ところが、毎日、互いの近況がわかっていて、驚いたことうれしかったこと怒っていること、そんなことを共有している人が、僕には何十人もいる。
 パソコン通信を始めた1986年くらいからだから、「滅多に会わないけど、お互いの日常生活や家族のことをすごく詳しく知っている20年来の友人」というのがたくさんいるのだ。
 tama
 たまに近況を聞くんじゃない。毎日毎日、そうしてつきあっているのだ。
 その間に、結婚したり離婚したり子供ができたり病気になったり元気になったり息子や娘が結婚したり、喜怒哀楽を共有している。
 職場の友達より、学生時代の友達より、もしかしたら家族より、親しくしている。
 たまに結婚式に呼ばれたり、結婚式の司会をしたり、温泉に集まって一緒に遊んだり、いろいろな形で直接会うこともあるけど、基本は電子のつながりだ。
 そんな仲間たちも20年前より20歳年取っている。
 でも、このまま「独居老人」になったとしても、全然、孤独じゃないと思う。
 高齢化社会になっている。
 高齢者はパソコンが苦手、なんて、高齢者自身も周囲も決めつけないで、パソコンとインターネットが使えるかどうかで、日常生活の質がまったく違うってことを理解してくれたらいいと思う。
 エンジニアだった僕は、心からそう願っている。
 ただ、その先、「文章で何かを伝える」ことができるかどうかが問われるのは確かだ。
 パソコンは、少なくとも運転免許を取るほどの努力をすれば、誰にだって使えるようになるけれど、自分の思いや考えを文章で伝えることができない人がその能力をつけるのはは簡単ではないかもしれない。
 だから問題は「デジタル・ディバイド」ではなく「国語力・ディバイド」なのかもしれない。

連載小説「第三企画室、出動す」一周年

 昨年の5月11日から始まった「第三企画室、出動す」が連載1周年を迎えた。
 小説の連載は阿川大樹として初めてで、しかも、周期が週刊というヘビーな(当社比)連載ができるだろうか、と不安もあったけれど、編集担当者のサポートのおかげで、一年間で第52話まで迎えることができたのは感慨深い。
 すでに分量でいえば400字詰め原稿用紙換算で700枚になっている。
 その間、日経ビジネスオンラインという経済記事中心のメディアで、異色であるフィクションコンテンツであるにもかかわらず、読者のみなさんから愛想を尽かされることもなく、むしろ、固い支持をいただいてた。
 根が理科系なので数字があると分析してしまうわけだけど、第52話は掲載日のアクセス順位が2位、本日金曜現在の週刊ランキングでも8位と、著者も驚く検討ぶり。
 掲載日である火曜日の順位だけでなく、水曜日木曜日金曜日になっても20位以内に残っているということは、たとえ他の記事を先に読んでも、「第三企画室」は、あとからでも忘れず読んでくださっているということで、著者としては本当にうれしい限りだ。
 さらにいえば、午前0時掲載のコンテンツが、午前2時や午前9時台にアクセス3位以内になることが多い。午前0時の掲載を待って真っ先に読んでくださる読者や、オフィスに出勤してすぐに読んでくださる読者もまたたくさんいる、ということだ。
 
 本当ににありがとうございます。
 作者としては、少なくとも読者のみなさんのお仕事の妨げにならず、望むらくは、なにかしらの糧になってくれればと願うばかりだ。
 毎週小説の〆切がある、というのは、まだ駆け出しの阿川にとって、精神的にも肉体的にもなかなかシンドイことではあるのだけど、多分、小説を書くという行為に、慣れてしまったり楽ができてしまったりしてはいけないと思うので、これからも「慣れていなくて苦労する」状態を保ちつつ、がんばりたいと思っている。
 「第三企画室、出動す」は、こちら から

上海料理「揚子江」 (関内)

 玄関のインテリアについて、妻につきあって「そごう」に。
 途中、ジャックモールのノジマとニトリに立ち寄って徒歩で。
 黄金町まで電車で行き、スタジオから桜を眺める。
 仕事じゃなくて、景色を楽しむ時間。
 そのまま、伊勢佐木町を6丁目から1丁目まで歩く。
 午後6時半、関内の「揚子江」にて夕食会。
 黄料理長の本格上海料理。
 決して豪華な材料ではないのに、どこにもない美味しさを出す。
 素材の味は生きているのだけど、その活かし方の舞台裏が見えない味なのだ。
 途中から黄さんも、飲みに参加して、夜半近くまで。
 完全にオフの日。

黄金スタジオにも、人、人、人

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 午前10時過ぎ、黄金スタジオ到着。
 すでに、大岡川沿いは人出がいっぱい。
 界隈は普段の千倍から一万倍の人出である。
 本日は、「阿川大樹 presents WEB9.TV」というイベントの主催者兼プロデューサー兼サウンドエンジニア兼小遣いさん。(笑)
 
 スタジオの前にPA装置をセットして、TSUBOKEN & tossii のライブ。
 すごい人出に、TSUBOKENさんの目の色が変わっている。(笑)
 ふだんは一時間に3人通れば多い方というこの辺りだが、この季節は渋谷109並に人が通るのだ。
 都合3回のステージで、用意したCDも売り切れ、花冷えで寒かったけど、盛況でした。
 生tossiiはかなりの美女なので、遠くから来ているオッカケさんやら、初めて聴いてCDを買ってサインを求めるオジサンファンが多かった。(笑)
 片付けが終わったところで、友達がやっている屋台を回る。
 山梨白州の水で焚いたご飯と有機タマゴの「玉子かけごはん」(300円)とか、注文を受けてからパティを焼き始めるボリュームたっぷりの本格ハンバーガー(おかわり自由のスープ付き300円)とか。
 連載の校正を済ませて、午後8時過ぎ、帰宅。
 早く寝て早く起きるのだ。
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仕事場の窓の外はこんな感じ。
僕がガラスのこっちにいるのに気づかずにイチャつくカップルもいたりして。
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いつもの黄金町とは思えない人出
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インターネット・テレビ WEB9.TV 収録中
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収録中もどんどん通り過ぎる人たち
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そして、立ち止まって聴く人々

四月馬鹿のまわりの馬鹿

 4月1日の午前0時になったとたん、twitter にエイプリルフールの話題が流れ始めた。
 わずか2時間後の午前2時には、ニュースサイトには、「エイプリルフールのまとめサイト」なるものが登場。
 あのさ、根本的に間違っていないか。
 エイプリルフールっていうのは、騙したり騙されたりして楽しむ日だ。
 そもそも4月1日だということを意識していない故に、騙されたりして、それも楽しかったりする。
 いったん嘘だとわかっても騙された振りをしたり、同じ嘘で騙される人をちょっと離れたところで、ほくそ笑みながら見ていたり。
 自分の嘘が本気にされて噂になって広まっていくのを楽しんだり。人の嘘を嘘だとわかっていても別の人を騙すために使ったり。
 そんなことをして、ニヤニヤしながら、一日を過ごすのだ。
 だというのに「絶対に騙されないぞ」という空気を纏って、誰かが嘘をつくと、それをすぐに「それはエイプリルフールだ」と大声で言う人がいる。
 自分が嘘だと気づいても、せめて4月2日になるまで黙っているのが、エイプリルフールのマナーってもんじゃないか。
 いくら言論は自由だとはいえ、人々の騙したり騙されたりする楽しみを奪う権利は誰にもない。
 ネット時代には、ニュースや噂がすごい速度で拡がる。
 だから、エイプリルフールの楽しみも何倍にも増える可能性がある。
 だというのに、午前0時を過ぎてまもなく、ネットは「エイプリルフール」という言葉の大合唱。
 野暮なやつがいるせいで、今年のエイプリルフールは台無しだぜ。
 エイプリルフールにする真相究明ほど馬鹿げたものはない。
 四月馬鹿、黙って騙せぬ野暮な馬鹿。

尾道で『フェイク・ゲーム』を買おう

 広島方面のみなさん!
 尾道の「啓文社 福屋ブックセンター」というところで、作家の自筆POPフェアがスタートしました。
 30人ほどの作家さんたちの手書き自筆POPと著書が一堂に並べられています。
 阿川大樹の「フェイク・ゲーム」も久々に(笑)面出しで十分な店頭在庫があります。
 もちろん、手書きのPOPも展示中。

リアル探偵ごっこ

 午後4時過ぎ、遅いランチを食べた帰りのことだ。
 途中に通りかかった路地の奥。
 風俗店の外に女性が一人で立っていた。
 あたりは風俗店の密集地。
 女性が通り過ぎることはありえるが、風俗店の外に立っているのは、いくつかの特殊なケースに限られる。
〈彼女は、中から出てくる人間を待っている〉
〈出てくるのはおそらく男で、いまなにがしかの料金を払っているのではないか〉
 仮説を立てた推理作家は一旦通り過ぎ、電話をかける振りをして立ち止まる。
 さっきの女性が、推理作家を追い越していく。
 思った通り、若い男性と一緒だ。
 推理作家は50mほど間を空けて尾行をはじめる。
 前に某業界風の男性がやはり同じルートをたどっている。
〈もしかしたら彼はガードについているのかもしれない〉
 商店街へ出たところで、急に腕を組む。言葉を交わしながら、少し進んで今度は手を繋ぐ。
 それ以降、一見したところ、仲のよいカップルに見える。
 カップルは、商店街をまたいで次の通りを左に曲がる。
〈やっぱり〉
 100mほど先に、ラブホテルがある。
 その前まで来て、その男女は女性がリードするかたちでホテルに入った。
 業界風の男はそのままホテルの前を通り過ぎ、推理作家は手頃な路地を曲がってその場から離れた。
 恋人同士なら、昼下がり、風俗店から出てそのすぐ近くのラブホテルには入らない。