中学生に「親学」を教えよう

 どうしたら親になれるんだ。
 いえ、セックスをすれば結果として、だれでも親になっちゃうわけですが、問題は「親はどうあるべきか」をいつどうやって学ぶのか、ということです。


 荒れる教室とか、ひきこもりとか、いろいろ子供に起きている問題は、小学校就学以前にその素地ができてしまっているわけです。
 授業を聴く集中力のない子供に育って学校に来ても、つらいだけですし、先生が叱ったからといって、おいそれと集中力ができるわけでもない。
 少なくとも学校に入る時点で、学校生活ができるように育っている必要があります。そうでなければ学校教育は成り立ちません。
 いま、議論されている学校教育の問題の多くは、幼児期の親による教育の問題だと思われるわけです。
 万引き、援助交際、いじめ、ひきこもり、自殺、暴力、……。
 それらはすべて、基本的には家庭教育の問題であり、もし、家庭教育がきちんと為されていないとすれば、それを学校教育で補完することはかなり困難だと思われます。
 では、親はいつどうやって子供の教育の仕方を身につけているのでしょう。
 結論からいうと、身につけていない。
 なにかしらわかったときには、子供はもう成長してしまっている。ある意味で手遅れになっているわけです。
 学校教育は、読み書き算盤を教えてくれます。
 しかし子育ても必須であるのに、それを学ぶチャンスはどこにもない。いきなり実地、On the Job Training です。これはムリでしょう。だってよい親であることはかなりむずかしいことです。
 発達心理学の基礎知識と、カウンセリングの基礎知識が、絶対に必要です。かなりの洞察力と、広範な知識が要求されます。
 子供を叱らない親、子供が好きだからとマクドナルドを毎日食べさせている親、そんな親を町でたくさん見かけます。こういう親から育った子供のことが、他人のことながら心配です。いえ、日本人として他人事じゃない。
 教育の論議のなかで子供の教育のことは語られているのに、あるいは、学校制度や教師のことは議論されるのに、「子供を教育できる親を養成すること」についての議論はまったく抜け落ちています。
 セックスをすれば子供はできる。生物学的な親になることはだれでもできます。しかし、親は子供にどうやって接し、親としてどうやって子供を育てるのか、ということは、だれかから教育を受けないとわからないはず。
 大家族の時には身近で他人の子育てを見ている機会が多かったかもしれないけれど、いまでは、自分が親になるまで、身近な子育てといえば、自分自身が「育てられた」経験だけしかない。子供を育てることを客観的に見たり経験したりするチャンスはない。なのに、こんな大事なことをどこで学ぶことなく、「いきなり本番」でやれといっても、それはムリです。
 自然に本能に任せていては、社会的存在に人間の子供を育てることはできない。
 だから、「親学」は「読み書き算盤」と同じように、国民全員が義務教育で学ぶべき必須項目だと思います。
 中学生に親の立場で「どうやって子供を育てるか」を学ばせることは、自分自身が大人の自覚を持つためにも、とても役に立つでしょう。子供をつくることのできる肉体的能力をもったタイミングで、子供ができたあとのことを考える機会をつくるべきではないかと、そんな気がします。

中学生に「親学」を教えよう” への4件のコメント

  1. トラックバック有難うございました。
    確かにおっしゃるとうりです。
    親学を親と学ばせる場の提供が今後必要になるでしょう。と言うより
    私自身は緊急課題だと思っております。できる範囲で是非実行してみます。

  2. 遅くなってすみません。TB展開させて頂きました。緊急対策としては親学は効果的かと思います。その先の理想を言えば学問としての「親学」ではなく、生活の中で自然に親学と同等のものが学べる環境が必要なのです。勉学として学んでも日常になければ単なる「お勉強」に過ぎません。つまり頭でっかちで体が動かない身につかないのです。保育園に頼りすぎるのはどうかと思いますが、子供が沢山いてお互いにぶつかり合い、危ない事や迷惑をかける事はしつけられ、こういった環境が近所に在るのが当然になって欲しいと思います。それは地味な日常の挨拶と思いやりから始まると思います。

  3. どうなる〜? アイフル〜♪

     愛くるしい顔して実はやくざ並みの狂犬であったわけだ。東証一部上場企業としてこれはいかんだろう・・ 京都の人間として恥ずかしい限りである。

  4. 「親学」・・ 確かにそういう視点は大事ですね。昔風にいうなら「家庭科」なんだろうけど。
    親として、夫として、妻として、そして人間として「家庭・家族」という最小の社会単位をどう運営していくかは生きていくうえで下手な「性教育」よりよっぽど重要かと・・
    ついでに「借金学」というのも小・中学生の段階で教えておくべきだと思います。
    世の中、きれい事だけでは生きていけないよ! と。

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